Mortal その3
人の為と思い起こした行動が誰かを傷つけている事を知らず。
また自分だけが満足してしまい他に目が行かないなんてよくある事だ。
光と影は誰にでも持っているもので、上辺だけでは本心は分からない。
踏み込んではいけない領域、ほんの少しの差で傾く天秤、きっと貴方もその時が来れば手を汚してしまうでしょう。
私だけは大丈夫だと過信すればするほど間違った方向へ進む、気づかないかもしれない、でも、気づいた時にはもう遅い。
飲み込まれた私はもう人とは違う感情を持ち合わせている。
月が照らさない夜が来る、闇は更に深まりカンテラ等が無ければ足元も見えない。
その闇のせいで私の血は求める、誰かを傷つけたいと。
血は更に熱く滾る、死が欲しいと。
欲望が溢れだす、抑える事が出来ない、喉の渇きはすぐに来る、苦しみは更に激しく私を襲う。
私の手には無知の力が、一度覚えた快楽の喜び。
止めることなど出来ない荊の道、触れれば皮膚に食い込み血が溢れだす。
もう私は、どこの誰なのだろうか。
エモ達は被害者と面会する機会を得た。
外傷もさることながら内なるものも大きいようで、皆話をしたがらなかった。
それでもひつこく聞きだすと、嫌々ながらこたえてくれた。
「あの姿は・・・悪魔だ・・・」
「怖ろしい・・・この世のものとは思えない姿をしていた」
悪魔とは?
一般的な話、悪魔は架空の存在でありだれも姿を見たものはいない。
その姿は本の中で描かれる物語の挿絵で知った知識でしかなく、夢や幻といった存在である。
頭には二本の角を持ち赤い衣をまとっているという。
手には長い鞭と棘のついた腕輪、見た目は女性で絶世の美女らしい。
かつてこの世界で起こった戦争や政治的犯罪の陰に悪魔の存在があったと言われ災いの元凶であるとされる。
魅入られたものは多大な知恵を得る代わりに寿命を奪われるという。
全ては幻想だが、人々が神様を信仰するように悪魔を信仰する人もいる。
誰かが扮して襲っている可能性は有るかもしれない。
教会では悪魔信仰は異教徒とみなされ粛清対象であるが、今現在粛清された人はいない。
ヒュ「悪魔か・・・本当にいるのか?」
レ「私は見た事ありませんが、教会にいた時にそういった情報がたまにありましたね」
ヒュ「どうせ頭のおかしい奴だろ?」
レ「大体はそうでしたね」
エ「まじで?司祭がそんな発言してもいいの?」
レ「私は正直なんですよ」
ヒュ「本当かよ、それじゃ俺の事好きか?」
レ「もちろんです」
ニ「あ、やめて、それ以上いけない」
危険な臭いを察したニアスが止めに入る。
エモは首をかしげていたがニアスは腕に立った鳥肌をさすっていた。
レ「ともかく実際に傷害事件が起きてます、どうにかして食い止めなければなりませんよ」
エ「悪魔でしょ?絵本でしか見た事ないし」
ヒュ「おいエモ、絵本でしか見た事のない宝石を集めようと旅に出たくせに何を言ってやがる」
エ「あ、そうでした。うん、悪魔はいるよ!」
レ「悪魔かは分かりませんが、悪魔に扮した人が犯人かもしれません、私達でどうにかやってみましょう」
ヒュ「別にいいけどさ、俺たちの目的覚えてる?」
レ「ええ、宝石探しですよね。でも司祭の端くれとして放ってはおけません」
ニ「とりあえず今日泊まる場所探そうよ。この子たちお腹減ってるってさ」
ニアスは空気を読むことが出来るのか出来ないのか、話をぶった切ってきた。
泊まるといってもまだ昼過ぎである、眠りにつくのはまだ早いしネコもウサギもさっき草食ってた。
もう少し聞き込みをした方がいいだろう、悪魔ではない情報が欲しい。




