Mortal その1
船旅は短かったが、移動手段としては歩かなくて済むので気分転換になる。
ヒュドラの記憶、いつもは奥底に眠っていて思い出そうとしない限り表に出ない。
思い出したくはない事実、この旅が始まってからというもの常に頭の隅に存在していた。
エモが探し求めている物は失われたという宝石、その一部がヒュドラの体内に取り込まれている。
使命だと思った、生れ落ち今ここにいることが。
宝石の欠片と共に生きて長い時間が過ぎた、見た目はそれほど歳をとった様に見えないのは他の人が生きる時間とヒュドラの生きる時間が違うからだ。
早く老いる人がいれば長生きする人もいる、ただそれだけの違いで然程の問題では無い。
エモ(以下:エ)「やっとついたー」
ニアス(以下:ニ)「カニ、カニ、カーニバル」
エモとニアスは真っ先に島へ上陸した。
二人揃ってカニを探しているが見当たらなかった。
レンシー(以下:レ)「岩場にはいるかもしれません、他の場所を探しましょうか、まずはこの町の教会へ行きましょう」
旅の鉄則、困ったことがあれば教会へ行け。
知っての通りこの国の教会とは何でも屋といえる存在である。
その土地について一番知っているのは教会の司祭なので無暗に行動するよりも役に立つ。
ヒュドラ(以下:ヒュ)「おいおい、まずは腹ごしらえだろ。あの店行くぞついてこい」
エ「はーい」
孤島ということで本島とは違う食べ物が溢れているはずだ、魚介類や特産の野菜とか。
こういった食べるという小さな幸せが原動力になるのだ。
ヒュ「おいオヤジお薦めをくれ」
店のオヤジ(以下:オヤジ)「あいよ」
レ「私は日替わり定食を」
エ「それじゃ海老チリと担担麺」
ニ「カニチャーハン」
各々好きな物を注文し、料理が出される。
ヒュ「オヤジ、俺の注文したのまだ?」
オヤジ「ん?この店のお薦めは水だよ。八百円ね」
ヒュ「マジかよ!水にそんな値段つけてるのかよ!ゲス過ぎるわ!」
オヤジ「ここはこの島でも高級な店だからな、それくらいは当然だろ?って冗談だ。ほれ」
ヒュ「安心したぜ。って、これも微妙な・・・」
オヤジ「俺の顔を印刷したお菓子だぞ。あ、メインはこっちだ」
ヒュ「オヤジ、気に入ったぜ、エモ海老一匹よこせ」
ラーメンををすすりながらヒュドラは言った。
ここに島は観光地にもなっていて旅行者や冒険者も数多く訪れる。
ということは情報が色々集まりやすいということだ。
今日分からないことでも明日には分かってるかもしれない。
それにしても人はまばらだった。
レ「前に来た時はもっと人がいたと思ったんですが、どうしたんでしょうか」
ヒュ「船賃が高いからじゃね?」
レ「それ程じゃないですよ、と、ここで喚いても仕方ないですね。教会へ行きましょう」
どうでもいい話、ニアスの猫はやっと魔法が解け手のひらサイズになった。
相変わらず肩に乗せてるが歩かせればいいのに。
更に先日捕まえたウサギも乗っかっているので猫背になっている。
もしかして、猫ならずウサギまでも魔法でデカくなっちゃう系ですか?
レンシーはこれからの旅が怖ろしく感じた。




