Who's clown? その1
教会で麻薬取引をしていた幹部を引きずりおろし、少しは世の為に働いたエモ達。
捜している宝石については何の情報も無かったけどすがすがしい気持ちで次の町へ行くことができる。
遠い遠いと思っていた当初の目的地である美術館も気が付けばすぐそこまで近づいていた。
教会の町を出発し意気揚々と歩みを進める一向。
空には太陽が昇り林からの風が強く行く手を遮るようだった。
ここではないもっと東の方では今現在、太陽が沈まない異常事態が起こっているなんて信じられない(ここ重要なポイント)。
その天変地異をどうにかしようと旅をしているのがエモ達だ。
エモ達と同じ志を持つ者は他にもいて、教会の司祭達が旅をしながら模索しているのだ。
しかし何の成果もあげられていないのが現状である。
レンシー(以下:レ)「早速ですが、次の町まで行けば美術館は近いですよ」
エモ(以下:エ)「本当?なんか嬉しいね。やっとここまで来たんだなって感じがする」
ヒュドラ(以下:ヒュ)「帰るには苦労しそうだけどな」
レ「ホームシックですか?」
ヒュ「いや、俺には帰りを待つ人なんていないから・・・」
レ「え・・・なんかすみません・・・」
変な空気が流れたがすかさず
エ「私がいるじゃないか」
ヒュ「え?」
ニアス(以下:ニ)「え?」
ヒュ「確かに家は近所だけどな、お前はここに居るじゃないか。今から帰って待つつもりか?」
エ「そういうわけじゃ・・・」
レ「まぁまぁエモの優しさですよ」
ヒュ「分かってるわ!」
エ「えーん、えーん(嘘泣き)」
ニ「えーん、えーん」
お前は関係ないだろと思ったヒュドラだったが、無視することにした。
レンシーも同じことを思っていた。
レ「さて行きましょうか」
ニ「えーん、えーん、チラッ・・・おい!置いてかないで!」
教会がある地区を出て商店街を通ると、そこにいた人たちはエモ達に注目していた。
もしかしたら教会であった出来事がもう知れ渡っていて羨望の眼差しを向けているのだろうと思った。
しかしよく見ると唖然とした表情をしていて、中には物陰に隠れてしまう者もいた。
ヒュドラはため息をつく。
理由は分かっていた、もちろんニアスの猫のせいだ。
魔法が解けてないので二メートルくらいの大きさになっている。
たとえ元が猫だとしても化け物であることに変わりはない。
気まずそうに商店街を通り抜けた。
しばらく道なりに歩き続け、ホワイトローズを外れた。
ホワイトローズとは教会の町の正式名称である、たぶん。
町の人は「ここはホワイトローズの町です」なんて言わないし、町の名前なぞ興味が無さそうだ。
実際にこのホワイトローズと名付けられたのは近年になってからで、前は別の名前で呼ばれ今も町の人々はその呼称を使っている。
それはともかく、次なる町を目指すのだった。
歩き出して少ししてから、まだ町が見える道すがらニアスが何かを見つけたようだ。
ニ「ねぇちょっと待って。あそこに何か見えない?」
ヒュ「見えるね」
レ「何かありますか?」
ヒュ「分からん」
ニ「あれはウサギちゃんだよ」
エ「え?本当?」
ヒュ「食料になるな」
ニ「駄目だよ!捕まえて連れて行くんだ」
連れて行くって、猫だけで十分じゃないの?と思うレンシーであったが、ウサギくらいなら居ても邪魔にはならないだろう。
しかしニアスは猛獣使いという肩書を持っているのだが、ウサギは猛獣と言えるのだろうか、いや言えない。
もっと獰猛なトラとかキリンとかカバとかの方が何かと役に立ちそうだ、カバの汗は赤いし。
でもそれらは怖いし、ここは穏便にウサギについては寛容しようと思った。
レ「ウサギなら私も好きですよ。かわいいですよね」
ニ「でしょー。ちょっと行ってくる」
ニアスがゆっくり近づく。
ウサギの近くには切り株がある、ぶつかってくれれば確保は楽なのに。
ヒュ「ニアスちょっと待て。あの切り株変じゃないか?」




