TELL ME ABOUT THE SKY その1
いつか見た私が幼かった頃の光景が蘇る。
それはいつも突然で、楽しいひと時でも急に襲ってくるのだ。
家の近くで遊んでいた時のことだった。
遠くから馬車が来たのが見えて私は走って行った。
馬車は珍しいものでは無かったが一日数回何も無い町での唯一の楽しみだった。
馬に施されている装飾品、御者の服装などを見ていた。
近づいてくる馬車、ふと目線を逸らし道に目を向けると一羽の鳥が虫を啄んでいた。
よくある光景、その時は鳥が居るとしか思わなかったと思う。
そして近くを通り過ぎようとする馬車がいる。
鳥はまだその場にいて、いつものように直ぐに飛び立つだろうと、だが気づいてはいなかったのだ。
無情にもやってきた馬車に轢かれる鳥の姿を見てしまった。
御者は気づかず通り過ぎ、馬車の轍の跡に半身が潰れた鳥が声をあげ鳴いていた。
片方しか動かない翼をばたつかせ、頭を左右に振っていた。
私は驚き泣きながら走り出してた。
どうしたらいいのかわからず、家に戻り母親に泣きついた。
どうしたの?と聞く母親、私は説明できずに泣きつづけている。
そしてそのまま疲れて眠ってしまったのだ。
目が覚めた時、無性に恐ろしく感じたのを覚えている。
あの鳥はいまどうしているのだろう、まだ生きているのだろうか。
私はどうしたらいい?
轢かれてしまった鳥が私を襲ってくるかもしれない。
また馬車が同じ所を通ったとしたら。
今なら助けられるかもしれない。
だけどそこへ行くのは気が引けた。
分かっているに見殺しにしている私。
とても怖かった。
だがそれ以上にこの事が知られたら母に怒られるかもしれないと思い、隠そうと走り確認しに行った。
いくつかの羽と小さな血だまりがあったが鳥は居なかった
どこへ消えてしまったのだろう、あの鳥は怪我をしているのにどうやって?
きっと飛んで行ったに違いない、良かったと安堵したが、漠然とした悲しさを感じた。
私はこの時初めて罪悪感を自覚した。
今でも私を苦しめている後悔だった。
子供の頃だから仕方のない事なのだと言い聞かせても消える事は無かった。
あの時の鳥は何処へ行ってしまったのだろう。
もしかしたら次に来た馬車の車輪にくっついていってしまったのかもしれないと考える事もあった。
結局分からず終いで、ことある毎に私を苦しめている。
エモは目が覚めると体が怠かった。
今までの疲れがドッと押し寄せてきただけではなく、長年苦しめている悪夢を見ていたのも原因だった。
ヒュドラはいつもと違う様子のエモに気づいた。
ヒュドラ(以下:ヒュ)「おいエモどうした?」
エモ(以下:エ)「ちょっと調子が悪い」
レンシー(以下:レ)「風邪でも引きましたかね?旅の疲れもあるでしょうし、今はゆっくりしましょう」
ニアス(以下:ニ)「エモこれ」
ニアスはペットである猫をエモの近くへ寄せた。
今猫はニアスの魔法で大きくなっている。大体二メートルくらい。
一週間くらいは元に戻らないので厄介。
エ「ありがとう、少し休めば治るよ」
レ「天気は悪いし宝石の調査は難しそうですね」
いつも休養すると言っておきながら次から次へ急ぎ足になっている旅路。
ヒュドラは口には出さないが疲れているに違いない、かくいうレンシーも疲れていた。
ヒュ「おいニアス、少しは働け。何か情報集めてこい」
ニ「えー、疲れてるし。みんなで行こうよ」
ヒュ「疲れてるだと?ずっと寝てたじゃないか」
ニ「ヒュドラには分からないかもしれないけど、魔法使うと疲れるんよ。本職魔法使いじゃないから」
ヒュ「んーそういえば魔法使ってたな。それでも寝てたじゃん」
ニ「寝てましたとも!疲れてたからね!」
ヒュ「まぁいいか。皆が疲れとれたら行動するか」
レ「そうですね、ニアスだけだと心配ですからね」
ニ「なん・・・だと・・・?」
仲間の騒がしいやり取りの中、エモは再び眠りについた。




