白く染まれ その3
今更ながら追加で説明します。
今までに登場していたシンガの上司は幹部であり司祭です。
司祭の中でも上位の方にいるので上級司祭であり、略すと上司となります。
レンシーの合図を受け、エモとヒュドラは部屋を出た。
ニアスもついていこうとしたが、猫が寝てしまいその場に残った。
エ「突入するときなんて言えばいい?」
ヒュ「そうだな、とびきりカッコいい言葉でも使ったらどうだ?」
エ「たとえば?」
ヒュ「お前らの悪行はこれまでだ!とかその話聞かせてもらった!とか」
エ「ありきたりですな。他には無いの?」
ヒュ「もう思い浮かばねーよ。と、ここだな。入るぞ、準備はいいか?」
エ「まだ言う言葉考えてない!」
ヒュ「入る」
扉を開けると上司とシンガ、そしてレンシーがいた。
エ「お前の悪行は全てお見通しだ!このエモ様にかかれば腐った教会幹部なんて藻屑と消えてなくなるだろう!ふははは」
虚しく響く謁見室。
マジか!とエモの顔を覗くヒュドラ。
レンシーもその言葉に驚いたが、噛み噛みのセリフで大部分が聞き取れなかった。
上司「誰だ!」
エ「私だ!」
ここぞとばかり胸を張りふんぞり返るエモであった。
上司「お前など知らん」
エ「何で!」
上司「だって初対面でしょうが!」
エ「そうですけども!」
上司「出ていきなさい」
エ「やだ!」
不毛なやり取りが繰り返される。
そしてエモとヒュドラの後ろから上司の上司が現れたのだ。
適当な説明を少々。
シンガとレンシーの上司は司祭であるが、統括する役目を担っているので役職としては司祭より偉い。
上司の上司は言い換えれば司祭の上位職である司教である。
かなーり偉い。
上司の上司(以後:司教)「この騒ぎは何事だね?」
上司「これは司教。彼女がいきなり入ってきましてね、騒ぎ立てているのです」
エ「私が騒ぎました」
司教「素直でよろしい。それで君はここに何の用なんだね?」
エ「こいつらが麻薬取引しています!」
ビシッと上司に指差すエモ。
一瞬動揺したがすぐに咳払いをしせせら笑った。
上司「何を莫迦なことを言いだすのやら、なぁシンガ」
シ「ええ、誰に向かって口をきいているんだね?」
エ「お前に言ってるんだよこの背教者どもが!」
エモの心の底にあった苛立ちが燃え滾り、一気に爆発して口汚く罵った。
今までの旅の中で見てきた不条理な憤りをぶつけているのだ。
みるみる変わる上司の顔色、赤く茹で上がった様に紅潮していく。
シンガはその表情を見てニヤニヤしている。
上司「言いたいことはそれだけか?私を侮辱したことを後悔させてやるぞ!」
エ「うるさいクソダヌキが!ふんっふんっ!」
司教「落ち着きなさい二人とも。とりあえず君は彼女の保護者かね?ちょっと押さえていてくれないか?」
ヒュ「わかりました、おいエモ、これくらいにしておけ」
司教「素直でよろしいな。さて、私は一方的な判断が出来ないので誰かどうして彼女はこんなに怒っているか教えてください」
この場に並んでいる顔を見る、誰も喋り出そうとはしない。
上司の顔を覗き込む司教、わかりませんと上司は言葉を濁した。
レ「私から説明しましょう、一通り聞いておりましたので」
司教「話してみなさい」
レ「かいつまむと、上司が麻薬取引をしていると彼女は言っています、ですよねシンガ?」
シ「え?は、はい、その通りです」
上司「でまかせです。素性も知らない奴の言う事など聞くことありませんよ司教」
司教は少し考えエモの方を見た。
涙目になっているが、瞳は鋭く上司の方を睨んでいた。
司教「本当のところどうなのですか?」
上司「どうもなにも嘘に決まっています。私がそんなことをすると思いますか?」




