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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第一章
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出発進行 その2

夕刻、疲れもピークに達していたが、まず休むより腹を一杯にすることを選ぶ。

適当な食堂を探しやれやれと一息つく。

準備する時間はあった、だが、何が必要なのかを改めて知った。

もうこんなひもじい思いはしたくない。

武器よりお箸だ!

腹が減ってる時は何食っても美味いと言うヒュドラの言葉を店員に聞かれないよう抑えるレンシーは、この旅に不安を覚えた。

ヒュドラのことは信頼している、彼のような魔法使いはもう二度と現れないだろうと思うくらいに。

しかし今はエモが一緒にいる、実際彼女の力がどれくらいのものなのか知らないからだ。

杞憂に終わってくれればいいのだが。

レンシーは深く息を吸い、目を閉じゆっくり息を吐く。

そして二人に話しかけた。


レ「旅をして一日目ですけど、この先大丈夫ですか?」


エ「一日目?二日目の間違いじゃない?」


ヒュ「レンシーにとっては一日目だが、大丈夫ってどういう意味だ?」


レ「いや、旅に慣れてないようだし、ヒュドラも空腹だけで狼狽える事はしなかったはずですよね?


ヒュ「まぁその、なんだ、久しぶりだったもんでね。日和っていたのかもしれないな」


エ「平和だったし、仕方ないよね」


うむうむと頷く二人を見て更に不安になった。

確かにレンシーも食料については忘れていたわけで、二人を責める訳にいかない。

空腹にさせないよう努めればいいことなのだろう。


レ「食料については各々準備してください。私も余分に準備しておきますが出来るだけ頼らないようにしましょう」


ヒュ「分かった。腹が減っては戦はできぬってな」


そういうヒュドラの目の前にはデカイ焼肉がある。これを一人で食おうなど普通の人だったら考えないのだが、何をするにも腹が減っては悪い方へ向いてしまう。

少しくらいはこうガッツいてもいいかもしれない。

レンシーも空腹だったが、そこは司祭だ限度はわきまえている。

ちらっとエモの方を見たらヒュドラと同じくらいの焼肉があり少しイラッとしたのは気のせいだろう。


エ「さて、これからどうする?」


レ「もうすぐ夕飯時ですね、私たちは済ませましたけど、丁度酒場はいい具合に盛り上がっているでしょう。そこで情報集めましょう」


ヒュ「ちょっと待って、腹が重くて歩けない」


レンシーはちょっとイラッとした。



酒場に到着すると早速聞き込みを開始する。

まだ時間が早いので親子連れも多かった。

なんとなく大した情報は得られないだろうと思っていると、客の一人の子供が話しかけてきた。


子供「ねぇ冒険者さんでしょ?ねぇ」


エ「そうだよ」


子供「僕も悪の魔王倒したい!悪い奴やっつけるんだ!」


ヒュ「そうか、それじゃまずあそこにいる店主を殴ってこい、あいつはみんなからお金を巻き上げてるんだぞ」


子供「うん分かった!」


レ「ちょっと待ちなさい、この中に悪い人はいませんよ。ヒュドラ変な事教えないでくださいよ」


ヒュ「すまない、本当の悪い奴ってのは自分自身かもしれないぜ。君はお父さんやお母さんに悪いことしてないよね?」


子供「・・・ごめんなさい」


ヒュ「正直でよろしい、親孝行するんだよ」


子供は頷くと父親の元へ走っていった。

良いことすると気分がいいなとヒュドラは思っていた。


エ「そういえばさ、この世界に魔王なんているの?」


レ「居ませんよ」


エ「ですよねー。平和ですもんね」


ヒュ「しいて言うなら国だな。あいつらこれでもかってくらい税金取ってるじゃん。俺死にそうよ」


レ「こんなところで批判しないでください」


そんなこんなで情報は集まらず、ガッカリしながら宿探し。

何もない事が幸せなのだろうか、いや、この物語ではそうとは言えない、むしろ何も無ければ死ぬ運命にあるのだから。

しかし人生うん十年っていいますか、それくらい時が経てば誰でも死ぬんですけども。

私たちの生きる時代ではない、もっと未来の時代、その時に生きる希望があるのかどうか。

絶望を感じながら生きていくのは死んでいるも同然、いつも希望を持って生きていかなければならない。

そう、絶対見つけてやるんだ、宝石は必ず見つけてやる。

エモの夢の中はいつでもこの様な感じで、いかなる時でもモチベーションは高い。

それが仲間たちに伝染していきやる気を出させる。


そして次の日ついに念願の情報を手に入れることになった。


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