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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第五章
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晴れた終わり その4

シンガが話した内容を簡単にまとめる。


教会上層部の司教の一人と密接な関係があり可愛がられているという。

そいつは他の司祭にも麻薬売買をさせ私益を得ている。

他の上層部の人はこの事を知らないらしい。


※司教は一般的に司祭の上位である。



エ「黒幕は分かったけどこれからどうすんの?」


ヒュ「そうだな、まずは証拠が無いとどうしようもないな。いきなりこいつが犯人です!って言っても誰も信じちゃくれないからな」


レ「出来れば一網打尽にしたいですね、仮にも司教を冠しているわけですからこのままにしておけません」


ヒュ「こいつが嘘言ってる可能性もあるからな、見極めないと」


シンガを睨みつけるヒュドラ、小さく俯くシンガの姿があった。

ここでニアスはちょっとした提案を出した。


ニ「うそ発見器はないけどそれっぽいのなら出来るよ」


エ「な、なんだって~」


ニ「ほら、これで」


と差し出したのはニアスが飼っている猫だった。

この猫は嘘をつくと噛むらしいのだが、さっきからじゃれてニアスの指を噛みまくっていた。


ニ「ちょっと待ってね、う~にゃぁ~」


ニアスが何か叫んだ。

それを聞いた猫が徐々に大きくなっていく。

これは前にニアスが言ってた魔法の力なのだろうか。

猫は手のひらサイズからヒュドラと同じくらいの体長になってしまった。


ニ「やっぱりでかいな。この触り心地最高なんよ」


ニアスは嬉しそうに猫の背中を撫でている。

大きくなってしまった猫、一週間は元に戻らないらしい。


エ「大きくなってもかわいいね。乗りたい」


ニ「いいよ乗っても。お、エモ似合うね。今度は私が乗る」


猫と遊びだすエモとニアス。

その姿を見てヒュドラは二人を叱りつけた。


ヒュ「いつまでやってんだよ、うそ発見器なんだろその猫は。じゃあやってみろよ」


ニ「あ、すっかり忘れてた。そうそう、この子が嘘発見器っぽいことできます」


レンシーは嫌な予感がしたが、見守ることにした。


ニ「えーと、嘘をつくとこの子が噛みます。ほら見てよこの牙、鋭いよね。怖いよねー」


確かに猫の牙は鋭く、どんなに硬いものでも砕けそうだ。

柔らかい肉なら簡単に突き刺してしまうだろう。


ヒュ「よし、それではシンガ、もう一度聞くが嘘をついていないだろうな?」


シ「う、嘘は言ってないっ、ほ、本当だ!」


ニ「もうちょっと近くに行ってみようか」


猫はニアスと共にシンガの近くまで行く。

臭いを嗅ぎながらよだれを垂らす猫、生暖かい息が顔にかかり冷や汗が止まらないシンガであった。


シ「本当ですってば!いやぁ、怖いっ!助けて!」


レ「もういいでしょう、ニアス、猫を元に戻してください」


ニ「えーもうちょっと遊びたい。あと元に戻すには時間がかかるからね。あと食費も」


嘘発見器とは名ばかりの威圧、死を恐れるあまりに本当の事を言ってしまうに違いない。

これでハゲ司祭シンガが嘘を言っていないことは証明?されたのだ。

因みにニアスの猫は一週間ほどで元に戻るらしい(第四章 傷あとをたどればその4)。


ヒュ「さて、これから言うことを良く聞けよ、黒幕を引きずり出すかわりに麻薬売買の事を見逃してやる。うまくいけば革命を起こせるかもしれないんだ。

そうしたら英雄の仲間入りだぞ」


シ「・・・それで、俺に何をやれと」


ヒュ「その司教が取り引きに関係がある事実を掴みたい。うまく話を引き出してくれ」


ヒュドラは不敵な笑みを浮かべた。

エモは少し不安そうにレンシーに囁く。


エ「ねぇ、悪者全員捕まえられるの?」


レ「うまくいけばですけど、誰一人として逃がしはしませんよ」


ちらっとハゲを見たレンシーだった。

短時間ではあったが打ち合わせをして行動開始する。

レンシーはシンガと共に司教の元へ向かうことになった。


ヒュ「それじゃ早速行動してもらおうか。レンシー、一緒にシンガと行ってくれ。俺らは別の準備をするからな」


エ「任せてちょうだい」


ニ「はーい」


レ「とりあえずニアスは猫どうにかしてください」



腐っていく信念、それを打ち砕くべく行動するレンシーたち。

長い間人々を騙し、裏で卑劣な行為をしている司教を許すわけにはいかない。

煮えくり返るレンシーの心、鬼のような形相は心にとどめておき、その時が来るまで抑え込んだ。

思い描く理想、いつも現実は遥か彼方の存在であり一向に近寄る事さえできない。

その絶好の好機、逃すわけにはいかないのだ。

例え私が私で無くなってしまっても悪いことは悪いのだと証明しなければいけない。

それが司祭であるレンシーの思いだった。

身内の後始末は他人にやらせるわけにはいかないのだ。

しかし足取りは重く、緊張からか指が震えている。

行こう、これは私にしかできないのだから。

全てを明るみに出し、終わりを告げる為に。

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