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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第五章
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晴れた終わり その3

ヒュ「やぁお待たせしました」


ヒュドラは勢いよく扉を開けた。

中では禿げた司祭が待ちくたびれたように腕組みをし少しイライラした表情をしていた。


「それで財布は見つかったんですか?」


ヒュ「それはこの通り。それでは取り引きを続けましょう」


そう言うと片手をあげ合図をした。

物置小屋の扉からレンシーとエモ、ニアスが入ってきた。

その姿をみて禿げた司祭は驚き動揺した。


「な、なんだお前らは」


ヒュ「俺の友達、色々と取り引きしようと思ってね」


レ「久しぶりですね、えーと、ジンガ?」


ジンガと呼ばれたのは禿げた司祭。

適当に名付けた司祭の名前だった。

昔の知り合いなら名前ぐらい思い出しておけよとヒュドラは思った。

この場面で疑問符を浮かべ語りかけるのはちょっと違う気がした。


ジンガ(以下:ジ)「ん・・・?お前はレンシーか?何故ここにいる?」


途切れ途切れに喋り出すジンガ(禿げた司祭こと麻薬の売人)。


レ「あなたが裏で麻薬の売買をしていたとは驚きましたよジンガ」


ジ「・・・俺の名前はシンガだけどな」


レ「それはともかく、この事を教会上層部が知ったらどうなるか分かってますよね?」


ジンガ改めシンガ(以下:シ)「何だと?何を偉そうに。私が何をしたっていうんだ」


知らぬ存ぜぬを突き通すジンガ改めシンガ。

威勢だけはある。

シンガは後ろ手に袋を隠そうとしているがヒュドラがそれを阻む。


ヒュ「隠したって無駄だ、これは麻薬だな」


シ「何をする!」


シンガは奪われまいと抵抗するが、多勢に無勢、エモとニアスも加わり股間を蹴られて沈んだ。


ヒュ「お前らやり過ぎだぞ、これじゃこっちが悪者になっちまうじゃねーか」


ニ「そんなつもりじゃ・・・」


エ「そんなつもりあった」


しれっと言い放つエモに、やれやれといった感じのヒュドラ。


ヒュ「やっぱりエモだったか。まぁこれで大人しくなるな、おい、ジンガしっかりしろ」


ジンガと呼ばれたシンガ(以下:シ)「・・・」


意識はあるが、苦悶の表情は消えそうにない。

これでは取り引きができそうにない。


ヒュ「レンシー、治せるか?」


レ「いやいや、無理ですよ。触れっていうんですか?ヒュドラは触れるんですか?」


ヒュ「治すの無理だってよ。ジンガ、このまま聞け、お前はこのまま教会に突きだす。これからどんな運命が待ってるか分かるな?」


シ「・・・ああ・・・うっ・・・」


ヒュ「それで取り引きなんだが、お前の後ろにいる黒幕ってやつを教えろ」


静かにうめきながら聞いていたシンガはしかめっ面をしながら答える。


シ「黒幕などいない」


この言葉は想定内だ。

レンシーはヒュドラに続いて話す。


レ「あなたが要領が悪いのは知っています。それが今の今まで麻薬取引が出来たのは誰かが後ろにいるからでしょう」


シ「知らん、そんなこと、」


ヒュ「剛情なやつだな、どうするよレンシー」


レ「そうですね、やっぱり突き出して処罰してもらいましょうか。教会内で麻薬売ってたって知れば処刑は免れませんよ」


処刑という言葉にシンガは動揺している。

今まで虚勢を張っていたが、急に寒気がしてきたのだ。


シ「なぁ嘘だろ?レンシー俺たち友達だったじゃないか」


レ「そうでしたっけ?顔見知り程度ですよね」


当に鬼の形相、エモでさえ逃げ出すほどのオーラを放っている。

ヒュドラも同様にシンガに向かって諭すような目をしていた。

ニアスは椅子に座って見守っている。


レ「さて、行きましょうか。」


股間を押さえ起き上がっているシンガの両腕を抱え立たせると、レンシーの持っていた縄で手を縛った。


シ「ちょ、ちょっと待ってくれ、どど、どこへ行く気なんだ?」


レ「あなたが一番行きたくない場所ですよ。さぁ行きましょう」


やめろ離せと言わんばかりに暴れるシンガだったが、エモの蹴りで大人しくなった。

流石に二回目の追い打ちはシンガにとっては最早致命打だった。

こればかりはレンシーも少し可哀そうだと思った。


シ「わかった、話す、話すから、だからちょっと待ってくれ」


ヒュ「ですってさレンシー」


レンシーは頷いた。




その頃ニアスは猫が草を食べる所を見ていた。

定期的に草を食べ毛玉を吐かないといけないのは普通の猫と同じである。


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