出発進行 その1
舞台は地球ではないどこか、それだと分かりにくいのでよく知っている日本地図にて大体のことを説明します。
非常事態が起こっている場所、東の方は北海道辺り、主人公のエモが住んでいた場所は熊本辺り、隣町は熊本県内で次の町は大分県辺りになります。
宝石の秘密に書かれていた美術館は大阪近辺です。
登場人物おさらい
エモ:主人公で槍遣い
ヒュドラ:魔法使い
レンシー:司祭
会話の文頭に登場人物の略称を載せていますのでどのよな身振り手振りしているかは想像で補完してください。
旅は道連れ世は情け、一人で行く道も仲間と一緒なら気が大きくなる。
大きな問題もちょちょいと解決できるような気がしていた。
それが間違いなのは重々承知しているが、気楽に行こう、そう思うのだ。
季節は春、頭がぼやけそうな優しい日差しの中で三人は歩いていく。
歩きながら眠そうにしているのは主人公であるエモ、その後に続くのはヒュドラとレンシーだ。
かれこれ5時間ほど歩きっぱなしで、腹の音で昼になったのを知る。
とはいうものの辺りには飲み食い処など無く、荒野が続いているばかりだ。
町の外へ出てみれば殆ど何もない、そこを新しく開拓しようとする人はいるものの途中で諦める人が多かった。
ヒュドラ(以下:ヒュ)「腹減ったな」
レンシー(以下:レ)「そうですね、でもこの辺りは何もないです」
エモ(以下:エ)「何か持ってないの?」
誰も持ってはいなかった。
旅の必需品である食料を真っ先に忘れていたのだ。
その他のアイテムや武器になるものは準備しておいたのに、何故食料だけを忘れていたのだろう。
レ「・・・仕方ないですね、腹の足しにはなりませんが、ヒール(回復魔法)をかけましょう」
持っていた棍棒の先が小さく光った。
エ「うぉすげえ。疲れが吹き飛んだ!」
喜んだのも束の間、腹の音は消える訳でなく、更に高らかに響いた。
確かに疲れが取れれば少しくらいは空腹を紛らわせることが出来るかもしれない。
そうはいっても一度気になりだしたら何か食べたいものである。
ヒュ「あの草食うか」
エ「マヨネーズかければ食べられそう」
食べられそうな草がある、しかしマヨネーズなどない。
そのまま手を伸ばそうとするヒュドラをレンシーが止めた。
レ「ちょっと待ってください、少しは我慢しましょうよ。次の町はまだ先ですが、道草食ってる程腹減ってるわけでもないでしょ?
それとヒュドラはテレポーテーション(瞬間移動)使えましたよね?それで隣町まで行けませんか?」
ヒュ「ああ、使えるけどね」
エ「マジで?見たい」
ヒュ「見世物じゃねーんだけどな。よし、ちょっくら使ってみるか」
ヒュドラは呪文を唱えるとその場から消えた。
この世界の魔法使いはこのように場所から場所へ瞬時に移動できる呪文を使える。
しかしながら移動範囲は狭く、長距離になればなるほど強い力を持っていなければならない。
今の空腹のヒュドラには遠くへ行ける程の力はなく、精々あの草の場所に行き抜いて戻ってくるだけで限界だった。
ヒュ「ほれ、美味そうな草だぞー。たーんとお食べ」
エ「やったー、明日はホームランだね!」
レ「ちょっとヒュドラ、それはもういいですから先へ急ぎましょう。もたもたしていると暗くなってしまいますよ」
ヒュ「他愛もないボケも許されないのか。ああ、神様はいないのでしょうか」
レ「こういう時だけ神頼みしないでください、行きますよ」
渾身のボケは徒労に終わり、更に疲れた一向は無言のまま歩き続けるのだった。
しばらくして町の明かりが見えてきた。




