アポリア その1
前回までもあらすじ
ホワイトローズの町で偶然旧知の仲であるニアスというテイマー(猛獣使い)と遭遇する。
なんだかんだで一緒に行動することになった。
通りすがりに小耳にはさんだ「教会にオバケが出る」という情報を元にその場所へ行くのであった。
ホワイトローズという教会従事者の町にある墓地は広大な面積で多くの人達を葬っている。
そこに隣接する納骨堂は作られてからそれほど時が経っていなく、教会の高位の者たちが安置されたより神聖な場所で、一般の人は立ち入りが禁じられている。
ここの納骨堂ではなくホワイトローズ郊外にある納骨堂は隣接した方とは違い、かつてこの町が出来た頃に作られたものだった。
エモが仕入れた情報はこの郊外にある納骨堂でオバケが出るらしいということだ。
アンデッドがいる時点でオバケなど怖いものではない。
しかし、正体不明なものに対して恐怖を覚えるのは誰だって同じこと、闇夜に光る獣の目を見た事があるか。
獣と分かっていてもいくつもの光に囲まれいつ襲われるとも知れない場所で野宿をすることはここでは日常茶飯事なのだ。
今回そのオバケとやらが人を脅かす存在ならその正体を暴かなければいけないだろう。
レンシー(以下:レ)「オバケについて何か知っていることがないか情報を集めましょう」
早速町中聞いて回るが答えは知らぬ存ぜぬで、用事が無い限り納骨堂に近づく者は皆無である。
困ったことになったが、分からなかったら直接見て判断するのが一番だ。
場所もそう遠くはないし目的地がはっきりしている。
ヒュドラ(以下:ヒュ)「とにかく行ってみよう」
郊外の納骨堂は新しい方とは違いミイラ化した遺体も安置されているという。
レンシーはこの納骨堂の存在は知っていたが、実際に入ることはなかった。
中がどうなっているのか分からない。
エモ(以下:エ)「到着しました」
レ「ところどころ崩れてますね。中が心配です」
ヒュ「こういうものは結構丈夫に作られてるだろ?そう簡単には崩壊はしないだろう。それはともかく・・・」
ヒュドラが気になったのはニアスが肩に乗せている猫だ。
猫が小さいとはいえ傾きながら歩いていたニアスが滑稽だった。
ニアス(以下:ニ)「この子が気になる?」
エ「気になる、おーよしよし、お前は可愛いなぁ」
ヒュ「どっちが飼われてるのか分からんな」
ニ「気分次第で肩に乗せたり抱いたりしてる」
ヒュ「歩かせろよ」
このようなやり取りの最中、レンシーは納骨堂の入口を調べていた。
これといっておかしなところが見当たらない。
人が侵入した形跡もない、というか綺麗に片づけられているので誰かが定期的に掃除しているのだろうか。
レ「ずいぶん綺麗に手入れされてますね、花もありますし、出入りは多そうですよ」
エ「入ってみよう。ちょっとワクワクするね」
ワクワクするものなんてありはしないのだが、中がどうなっているかは気になる。
ヒュ「まずはレンシーが先に入れよ、司祭なんだから」
レ「何を訳の分からないことを、司祭は関係ないでしょ、ヒュドラが先に」
エ「私が先に入る」
ニ「猫が先に入りたいって」
ヒュドラは嫌な予感がした。
この流れで行ったら俺が先に入らなければいけないと。
だから何も言わずに過ごすことが正解である。
エ「それじゃヒュドラが一番最初ね」
ななめ上からきたー。
レ「話が違うじゃないか」
ニ「ヒュドラが適任。間違いない」
レ「それではお任せします」
もう何と言い返しても無駄な事は分かった。
まぁいいさ、どうせ何も無い納骨堂だろう、怖れる事は何も無い。
オバケが出ると言っていたが、結局はここを綺麗にしているババアの容姿がみすぼらしいだけなんだろう。
それだったら俺も人間と分かっていてもオバケと言ってしまうかもしれないとヒュドラは思った。




