傷あとをたどれば その1
エモ「私は味噌ラーメンがいい」
ヒュドラ「チャーハンくれ」
レンシー「私はこのブラッックペッパースペシャルもやしラーメンを」
彼らはとある町の食堂に居た。
朝から歩き通しで、夕方近くにやっと見つけたのだ。
腹が減ったとうるさい二人をどうにか奮い立たせ歩かせるのに苦労したレンシーも腹は減っていたが、弱音を見せまいといつも誰よりも努力している。
たまにはこれくらいいいでしょう、少し値段は張りますが自分へのご褒美です。
それに辛いものはエモもヒュドラも苦手なので取られる心配もないですし。
慌ただしく過ぎていった日々も、今は平穏な時間が流れていた。
町から町への移動は歩き通しで辛い時もあるが、こうしたほんの少しの幸せが嬉しかった。
エモ(以下:エ)「レンシーばかり高いの頼んでずるい」
ヒュドラ(以下:ヒュ)「レンシーだって疲れてるんだ。今度はエモが贅沢してもいいぞ」
エ「本当に。やったー」
レンシー(以下:レ)「最近は本当物分かりが良いですねヒュドラは」
旅を続けていく上で重要なのがチームワークである。
もちろん喧嘩はするが、妥協と融通をうまく使い分けることが必要だった。
レンシーがいつも悩んでいるのは帳尻合わせをしているからだ。
うまくいかない時の方が多いが、そこは大人なので我慢していた。
それはともかく、ブラックベリーという鉱山の町を後にしたエモ達はレンシーの第二の故郷とも言える都市へと来ていた。
ここは教会従事者達が司祭になる為に修練するための施設があったり、司祭より上位の司教職を目指す者達も多く訪れたりする。
レンシーも司教への試験を受けられる資格を持っているが、本人はあまり興味が無さそうだった。
実際、司教は司祭と違い政治の運営の一部を担っている。
因みに司祭は各町に配備され何でも屋のような仕事をしている。
レンシーの旅立ちの理由は、教会上層部から太陽が沈まなくなる事態をどうにか解決しろというお達しが司祭達に届いたからだ。
中堅の司祭が主にこの無理難題の為に旅立ちどうにかなるかと探究している。
居なくなった司祭の後には見習いの司祭が入って、うまく回っているのである。
都市の名前はホワイトローズと呼ばれている。
とても大きい都市だが、いつもどこかで工事が行われていた。
教会の権力を更に伸ばす為の工事なのだが、人々はそのことを知らずに信仰している。
皮肉なもので、司祭たちはその事実を知りながら従事しているのだ。
レ「さて、やっとのことでここまで来ましたが、どうです?」
エ「どうです?って凄い建物多いね、この壁なんて本当に洗いたてのタオルみたいな真っ白だよ」
ヒュ「俺のタオル緑だけど」
レ「それはさておき、ここには目当ての宝石は無いと思いますが、どこか行きたい場所ありますか?」
エ「とりあえず情報収集は教会へ行け、でしょ」
レ「そうなんですけどね、ここは他の町と違って普通の教会が無いんですよ。まずは酒場に行くのが正解です」
ヒュ「よく知ってるな、腐っても司祭だな」
レ「それはここが私の故郷のようなもんですからね」
ヒュ「それにしても人が多いな。それにあれは何だ?」
レ「道路を整備して町を拡大しているんですよ」
外観を損ねないように統一された様式で見る者を圧倒している。
初めて来た旅人はその同じよな景色に迷い苦労するらしい。
とりあえずレンシーの案内で酒場を目指すことに。
レ「まずはここの名物を頼みましょうか、すみません薬草ジュース三つください」
ヒュ「俺は酒がいいんだけど」
エ「甘いのがいい」
レ「それはまた後にしましょう。ここの薬草ジュースは頭が良くなる成分が含まれてますので是非とも二人には飲んでいただきたい」
ヒュ「これ以上頭良くなっても仕方ないけどね」
レ「ははは・・・」
レンシーはそんなジョークを交えながら昔この町で生活していたことを思い出していた。




