キラメキの中で...その3
青年「この部屋の奥に扉があるんだ、そこに居る」
先程二体のアンデッドを対処した部屋だった。
隅を灯りで照らすと一部だけ黒ずんだ隙間を見つけることが出来た。
横にスライドさせ開くと中に小さな台があり、その上に青年の妹が居た。
白い服だったのだが汚れていて、遊び疲れた様子のまま静かに眠っていた。
まるで生きているかのようで、死んでいるとは思えなかった。
青年は妹を見つめると泣き崩れ、手を握ったまま嗚咽を漏らした。
青年「う・・うぅ・・・」
エモ「・・・この子もまたブラックベリーの犯人に?」
レンシー「辛いでしょうが、戻りましょう。いつまでもこのままではいけませんよ」
青年は首を振り拒もうとする。
ヒュドラは頭を掻きながら離れそうにない青年に近づき手を解こうとした。
その時、少女の胸元で何かが光った。
まさかと思い、ヒュドラは首にかけられていた鎖を引っ張り出す。
ヒュドラ「これは、あれだな」
エ「え?それって宝石の欠片じゃない?」
ヒュ「もしかしたらレンシーまだいけるんじゃないか?」
レ「ちょっと待ってください、どれどれ。もしかすると・・・やってみましょう」
青年は訳分からない状況に陥った。
エモも同じでヒュドラとレンシーの顔を交互に見ている。
簡単に説明すると、宝石の欠片には魔法がかけられている。
その力は人を狂わせたり、力を増幅させたりして効果は一つではない。
今回の宝石の力は、少女の身体を腐らせず新鮮な状態に保っていた事にある。
[第一章「扉の先その3」より]抜粋する。
鍛錬を積んだ司祭の中には人を生き返らせる能力を持っている。
それにはいくつかの条件下でのみ可能になるのだが、それでも必ず蘇生できるものではない。
いくつかの条件とは死亡直後であること、重大な怪我をしてないこと、病気や寿命でによる死ではないことそして死亡した本人が生きる事を望むことである。
少女はその条件を満たしていた。
青年「な、なにをするんだ?」
ヒュ「黙って見てろ」
レンシーは今まで見た事のない表情をしている。
心を落ち着かせ少女の体に印をつけていく。
大きく息を吸い込み止める。
司祭として生きてきた中で初めての挑戦だった。
いつ使うともしれない蘇生の魔法を修得する司祭は少なく、ある意味異端な存在であった。
レンシーはある事件をきっかけに覚えたのだが、その事件とは別の機会に語るとして。
魔法を使う者は覚悟しなければいけない、人の命を左右していることと自らの命を削ることを。
どんなものにも代償は必要で、蘇生は成功失敗に係わらず自らの命を危機にさらす事もある。
因みに蘇生の魔法を使い見事生き返らせた例は数少ない。
使う者が少なく、条件に当てはまること自体も少ないからだ。
レ「任せてくれとは言いませんが、出来るだけのことはします」
レンシーは手を伸ばし少女の額に触れる。
火花が散った様に手から光がこぼれているようだった。
聖なる光、まさに今目の前に神が降りたような荘厳な雰囲気でヒュドラ達は圧倒された。
レ「こちらへ来てください」
青年を呼び寄せると手を妹と握らせた。
強く願いを込めて。
レンシーは疲れを見せず一心不乱に祈り続けた。
見ているエモは心配そうに見つめ手を合わせる。
ヒュドラは腕組みをて集中していた。
額に汗が浮かび滴り落ちる、レンシーは更に集中していく。
そして小さく頷き手を額から離す。
レ「もう終わりました。あとは彼女次第です」
レンシー尻餅をつき大きく息をした。
この後どうなるのだろう。
青年はまだ妹のそばに居る。
エモとヒュドラも心配そうに見つめていた。
ヒュ「おい大丈夫か?」
レ「疲れました。後は様子を見ましょう」
エモは少女により手を握る。
これ以上悲しい思いはしたくないしさせたくない。
出来ることは祈るだけだった。




