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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第三章
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キラメキの中で...その2

「お前たちは知らない!僕のこの苦しい思いを!」


締め付ける力は強くなる一方でレンシーは耐えられずひざまずいた。

ヒュドラとエモは男を説得しようとするが、聞く耳を持っていない。

どうすべきか、答えは簡単だった。

とりあえず近づいて取り押さえるべし。

エモの持っている槍を投げるべきだろうか。


エ「ヒュドラちょっと・・・」


ヒュ「なるほどなるほど、やってみろ」


エモの耳打ちに賛成をしたヒュドラ。

槍の先端に布を巻きつけ油を染み込ませ、そこにヒュドラのファイアの魔法で炎をつけた。

狙いを定め投げつける!


エ「はっ」


槍はアンデッドではなく男に向かっていく。

躊躇ためらいもなく避け、槍は壁に突き刺さった。

これは失敗ではない、男の逃げ道を邪魔するための一石。

地面から一メートルくらいの場所に刺さった槍、これを超えるにはくぐるか飛び越えるしかないが、炎がついているので近寄りがたい。

そこですかさずヒュドラはファイアで攻め込む。

怯む男が一瞬手を緩めた時、レンシーへの呪縛は解けてしまった。

それを知らずに体制を整えようとするがレンシーのタックルで男は地面に背中をつけた。

アンデッドは起き上がってはいたものの訳も分からない様子でそのまま動こうとはしなかった。

肩で息をするレンシーは男に語りかけた。


レ「あなたのやっていることは死霊術で本来の蘇生ではありませんよ」


悔しそうな目をして奥歯をかみしめている男。

ヒュドラとエモも近づいてきた。


ヒュ「こいつどこかで見たような・・・」


男のフードを外し、まじまじと見つめた。


「は、放せ!」


レ「!!探してた男の子ですよ!」


その男はエモ達が探していた子供の一人だった。

子供とはいえ青年と言っても差し支えない。

どうしてこのような事をしていたのだろうか。


青年(死霊術師の男:以後「青年」と表記)「放しやがれくそったれ!僕にはやるべきことがあるんだ!」


レンシーだけでは押さえつけられないのでヒュドラもついでに乗っかった。


レ「何をしたいのかは知りませんが、死者を無理やり生き返らせることは許される事ではありません」


青年「なんだと?無理やりじゃなかったら許されるのか?」


レ「そ、それは・・・」


ヒュ「狼狽うろたえるんじゃねぇよ、レンシー。誰も腐った身体で生き返りたくはないだろ」


ヒュドラの言葉を聞き、青年は抵抗を止めた。

青年は知っていた、今までやってきた事が間違っていることを。

それでも何かにすがるよう繰り返し死体をアンデッドにしていたのだ。

長い沈黙が訪れる。


エモ「そろそろ戻ろう。こんな場所だと心まで暗くなっちゃうよ」


ヒュドラ「そうだな、戻ろう」


青年「ちょ、ちょっと待ってくれ」


レンシー「あなたを連れて帰りますよ」


青年「妹が・・・いるんだ・・・ここに・・・」


ヒュ「そういえば行方不明になってたのは兄妹だったな」


エ「その子も連れて帰ろう」


青年「駄目なんだ・・・もう妹は死んでしまったからね・・・」


一同はその言葉を聞いて驚き、心が痛くなった。

彼の妹はブラックベリー(鉱山の町の名前)での犯人によって殺されてしまったのだろう。

だから青年がここまでして蘇生を繰り返していたのだろうか。

だが、それはアンデッドにするための術であり、生き返ったとしてもすぐに朽ちていく運命にある。


青年「愛する妹は死んでしまった。生き返らせたいと思うのは当然じゃないか。

殺された人で蘇生の練習してたんだ、確実に生き返らせる為にね。

でもどうしてもうまくいかないんだ。

まだ僕にはもっとやらないといけないんだ」


レ「そうだったのですか・・・ですが、いくら練習しようとあなたの術ではアンデッドにしかできませんよ」


青年「妹の所へ行かないと・・・あぁっ・・・」


立ち上がり歩こうとするが、青年はレンシーのタックルを受けた時に足を痛めてしまったようだ。


エ「迎えに行こう」


エモは青年に肩を貸し歩く。

ヒュドラとレンシーも目を伏せたまま後に続く。


レ「ちょっと待ってください。このアンデッドを浄化します」


すっかり忘れ去られていたが、同じ空間にアンデッドも居た。

直ぐ楽にしてやると言わんばかり声を高らかに。

レンシーの歌声はアンデッドを安らかに鎮まらせたが、ヒュドラ達を苦しめた。

やはり、何度聞いても・・・なんでもない。


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