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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第三章
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真夜中の逃亡者 その6

中は他の部屋とは違い、小さなランプが数台明かりを灯していた。


ヒュドラ「気配はするが姿は見えないな」


異様な空間、別の世界に紛れ込んだような気分だ(実際に紛れ込んだことは無いのでそれがどのような感覚なのかは不明だが)。


「誰か居るのか?」


その声は部屋の奥、いくつもある机が重なっていて影になり見えない場所からゆっくり現れた。

黒いフードを被り顔をうかがい知ることは出来なかったが、声は男のものだった。


「君たち何の用だ?」


レンシー「あなたが別の部屋にいた人をアンデッドにしたんですか?」


「んー、知らないね。で君たちは何の用があってここに来たんだ?」


ヒュ「行方不明になった人たちを探しにね」


「なるほどね、悪いけど出て行ってくれよ。僕は忙しいんだ」


エモ「ちょっと話を聞かせてくれない?」


「はぁ?忙しいって言ってるだろ!早く帰れよ!」


レ「少しだけでも・・・」


「うるせぇな!帰れよ!」


ヒュ「なんだと?少しだけって言ってるだろ!先っぽだけって!」


エ「先っぽって何さ」


「帰れよ・・・帰れったら!」


男は苛立ち、両手を広げた。

三人は身構える前に頭に衝撃を感じた。


ヒュ「おい、どうなってるんだレンシー」


レ「わ、私にも、分かりません」


エ「うっ、頭が・・・」


何かの魔法を使ったようだ。


「ほら、もう行けよ。次は無いからな」


解かれた魔法で痛みは和らいだ。

不味い状況だが、不意をつけば捕まえて事情を聞けるかも知れない。

ヒュドラとレンシーは頷いた。

エモは先の捕り物劇で頭を痛めていて、先ほどの魔法が追い打ちになり倒れ込んでいる。


ヒュ「腕を止めるからな、レンシーは思いっきりタックルするんだぞ」


レ「分かりました、エモ大丈夫ですか?」


エ「少し休めば」


ヒュ「よし、行くぞ」


屈みながら近づくレンシー、ヒュドラは立ち上がりアームロック(手錠の魔法)を唱える。


「な、なんだ!?」


レ「動かないでください」


男は動揺したが、不敵な笑みを浮かべる。


「僕は帰れと言ったんだけどな。傷つけるのは趣味じゃないしね。おい!早く来い!」


男の言葉を放ってから数秒後、エモ達が入ってきた扉から二人にアンデッドが来た。

レンシーはというと、その場で固まったまま動けなかった。


「こいつらをどうにかしろ。今すぐにだ」


男の号令で二人のアンデッドはヒュドラとレンシーに近づく。


ヒュ「おいおい、冗談だろ、レンシー、どうした?」


レ「動けません、体が思うように・・・」


ヒュ「くそっ、まずはこいつらを相手にしないとな、エモ起きろ」


無理やり起こし戦闘に加える。

どうしたものか、意味が分からない。


「さて、あとは二人に任せるから好きにしなよ」


アンデッドは分かっているのか知らないが、うなだれると片手に力を込めた。


「僕は行くけど動けないのは可愛そうだな。少ししたら解けるよ。それまで何とかしてみな」


男は部屋を出て走り去っていった。


レ「ヒュドラ、少しの間何とかしてください」


ヒュ「おうよ、少し手荒だが焼き払っちまうか」


エ「人相手に戦うの?」


ヒュ「もうこいつらは人だが人じゃない。手加減なんて無用だぞ」


エモはやはり対人戦は不向きらしい。

人の形をしている相手には力を上手く使えない。

レンシーは動けない間、鎮魂歌を唱える為に精神集中をした。

アンデッド達は最初は勢いよく動き回っていたが、徐々に鈍くなり目標を失ったかのようにウロウロし始めた。

相手にしていたエモとヒュドラはここぞとばかりに蹴飛ばした。


ヒュ「おいレンシーまだか!」


レ「もうちょっとです。準備は出来ました。いきますよ!さぁ二人とも後に続いてください、ボェ~」


ヒュ「え?知らないし」


エ「私も知らない」


レ「何ですって?ほんの少し前にも教えたじゃないですか、ボェ~」


ヒュ「そうだっけ?忘れちまったな。それにしても音痴だな」


エ「く、苦しい・・・」


また同じ事を繰り返したが、ようやく二人のアンデッドは倒れた。

そして一息つく間もなく逃げて行った男の後を追った。

2018.07.25誤字修正

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