斜陽の緋 その2
トロッコを動かすには燃料が必要だ。
そもそも古びたトロッコが動くのか疑問でもある。
燃料タンクを開けてみると何も入っていない、動く気がしない。
レ「使うのはいいですけど、燃料有りませんよ。それに見て分かるでしょ所々レールが劣化してるのを」
エ「燃料持ってきたよー」
ヒュ「劣化してるところは俺の魔法で何とかするよ」
レ「手際がいいですね、怖いくらいに」
早速燃料を投下。
往復するにはこれくらい入れればいいかな・・・、目分量だが。
エ「それじゃ起動するよ」
電源を入れたり消したりして何度目か、ついにエンジンが掛かった。
トロッコは使えるようだ。
エ「よし出発」
軽快に走り出すトロッコ。
文句を言っていたレンシーも草木が生い茂る中を走ると心地よい風が当たるもんで気分が良さそうだ。
どれくらい進めば着くのだろうか、先はまだ見えてこない。
レ「ところでエモは昨日何書いてたんですか?」
エ「え?何の事」
レ「食事の後にえらく真剣に書いてたやつですよ」
エ「ああ、見られてたか。実は日記を書いててね。旅を始めてからずっと書いてたんだよ」
ヒュ「へぇ、文才あったんだ」
エ「君たちは知らないだろうけど、この旅が終わったら出版するんだ」
ヒュ「いつになることやら」
トロッコでの移動中、一時だけ悲しい出来事を忘れる事が出来た。
ただそれは本当にちょっとだけだけの幻だったのだろうか。
殆ど変る事のない景色が通り過ぎていく、トロッコは急かすようにスピードを早めていた。
風を体で受けながら、何とも言えない思いが込み上げてくるのを感じた。
ヒュ「ああ、また倒木か。こういくつもあると退かすの面倒だよな」
レ「退かしておけば帰りは楽ですよ」
たまにある倒木を退かす程度で、始点では朽ちていたレールも殆ど使えるものだった。
トロッコ使用は正解だったと言える。
エ「もうすぐ着くかな?」
楽しかった時間もいつか終わりを告げるのだ、誰も知っている事だが忘れてはいけない。
日はまだ高く昇り昼前には目的地に着けるだろう。
レ「見えてきました、この標識で村までの距離が分かりますね」
村まではあと少し。
何か見たという情報はレールの先にあるのでそこまで行かなければならない。
雑木林を抜け、ひらけた場所に村はあった。
ここで止まらずまだ先に延びているレールを進んでいく。
終点まで行かなくてはならない。
ヒュ「改めて確認だが、何かあるんだよな?」
レ「情報では何かあります」
エモは不安な表情をしている。
もしそこに死体でもあった日には嫌な気分になるに違いない。
レンシーとヒュドラが先に見に行き、エモはトロッコに残しておくことにしようか。
いや、エモは反発するだろう。
仲間として行動するなら全ての事を隔たりなく受け入れるべきだろうか。
レンシーはまだエモには早いと考えているが、エモはこの旅で色々と成長しているのだ。
楽しいことだけでなく、悲しみを受け入れる重要性は必要なのだ。
昨晩のエモの日記にはこう書かれていた。
[辛いことが沢山あるけど、二人が居てくれるから私は強くなれる気がしている。
どんなにミスをしても助けてくれるから安心できるけど、それだけじゃ駄目だと思う。
私自身が強くならないと、私が強くなれば二人を安心させることがきるるはずだから。
でも一人で無謀なことはしないようにしたい、ヒュドラにも謝らないといけないなぁ。
私の想いを詩として以下に記す。
生まれた時背中の羽には
傷を負い今は飛べない
決められた世界に見つけ出す
この羽を治す力を
今は僕は旅人
すべてに逆らいながら
いつまでも歩き続けて見つけた欠片
一つじゃ足りないからもっと
手に触れて光りだす
ほらまた
空に浮かぶ雲を目指しても
まだ傷は癒えてないから
俯いたままで
明日を忘れていた夢の中
思い出してまだまだ
始まりはまだ見えてない
少しずつ歩み早めて見つける欠片
一人じゃ見つからないから
手をとれば光りだす
ほらすぐ]




