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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第三章
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杳として

男はレンシーが連れてきた教会の人と町の人達に連れて行かれた。


ブラックベリーの司祭(以下:BB)「この度はありがとうございました。それにしてもこの男が犯人だったとは驚きです。

彼は町では誰もが慕う人でしたから」


司祭はため息をつく、犯人は捕まえたが失踪事件はまだ解決してはいない。

いなくなってしまった人が最早死んでいるかもしれないという事実、これには心が痛くなる。

ただ、男から何か聞き出せれば見つかっていない人たちを探せるかもしれない。


BB「皆さん今日は疲れたでしょう、傷の手当もあるでしょう。それと教会の方で食事を用意しますのでどうぞお先に」


レ「後は彼らに任せて休みましょう、また明日やることはありますよ」


厚意に甘える。実際動けない程に疲れ切っていた。


エ「教会まで遠い・・・」


ヒュ「よし父ちゃんが背負ってやるぞ」


と、ヒュドラはレンシーを指さした。


レ「何を冗談を一人で歩いてください。行きますよ」


教会まで歩く道、霧は先程とは違い晴れていた。

しかし見つからない人たちがいる以上は心は晴れることはないだろう。

冗談を言っていた二人、今は無言で歩いている。

何を考えているのだろうか。

きっとエモは主人公なのに影が薄いとか思っているんでしょう。

ヒュドラは結構真面目に考えていて欲しいが。

それはともかく二つ目の宝石の欠片は手に入った、風は私達の背を押しているようだ。


ヒュ「レンシーよう、背中押してくれ、坂道がきつくて」


レ「期待してますよヒュドラ」


ヒュ「え?なんだって?」


レ「何でもないです」



教会についた。

緊張が解け椅子に座り込む三人。

とりあえず傷の手当てをする。

教会の使用人が手際よく行ってくれた。

エモの傷はそれほどでもなかったが、顔が腫れていた。


レ「私のヒールで少しはマシになりますが完治までちょっと待っててくださいね」


エ「ふぃ~、あいつ本気で殴りやがるからな、棍棒で殴られたようだったよ」


ヒュ「俺棍棒で殴られたことないからその例え分からないわ」


エ「そう?それじゃ金属バットで殴られたような痛みよ」


ヒュ「もっと頭の良い例え方ないか?バットで殴られたことないし、そもそもバットで殴られた人の方がいないわ」


レ「試してみますか?」


ヒュ「い、いえ、遠慮します」



手当も終わり使用人が食事の準備が出来た事を告げた。

皆疲れているが腹は減っている。

質素なものだったが満足し就寝の準備をする。

簡易ベッドで横になると睡魔が襲ってくる。

ヒュドラはそのまま深い眠りについた。

まだ眠れずレンシーに話しかけるエモ。


エモ「あの男はこれからどうなるの?」


レ「牢屋に入れられるでしょうね」


エ「それから?」


レ「罪を償う為に塀の中で生きるはずです」


エ「理不尽だね」


レ「・・・・そうですね」



憤りを感じているのはレンシーだけではない。

一方的で狡猾な人間に対し、厚生という名の庇護をして数年後野に放つ。

教会は犯罪者に対してそれなりの拘束力を持っている。

しかし、処刑という選択肢は戦争が終わってから無くなってしまった。

一度終わった恐怖も再び人々の不安を煽ることになっている。

そうそう人の本質は変える事ができない。

表面上うまくかわしていても心の中では黒いマグマのようにいつしか赤く燃え上がる日を待っている。

そのままで終わればいい、必ずしも同じような事が起こるわけではない。

反省をするだけで許されてしまうのだろうか、拘束していれば安心なのだろうか。

枷が外れた時の事を考えなければ安心して生きていくことはできない。

それではどうしたらいいのだろうか。

処刑という選択が無い今、どのような犯罪者も生きる権利を得ている。

忘れるしか今のところ逃れるすべは見当たらない。

レンシーは秩序を守る為に処刑は必要だと考えている。

しかし執行者の苦痛を考えるとそうも言っていられない。

無辜むこの者が犯罪者という人を殺す行為も殺人として心に残るのだ。

繰り返し行わればその執行人も変性してしまうだろう。


エ「レンシーはどうしたい?」


エモの言葉はレンシーの胸に突き刺さる。

どうしたい・・・どうにかできるのなら人々が不安の無い生活を送れるようにしたい。

それが出来るなら私の手が汚れても本望だろう。

エモには伝える事は出来ない、口にしている言葉とは違う思いなのだ。


レ「エモと同じですよ」


曖昧な言葉しか言えなかった。



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