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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第三章
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気づかないのは罪 その2

適当に被さった土、そこから少し見える肌色が黒く染まっている。

所狭しと羽虫が熟れて落ちた果実に群がるように吸い付き、足をこすり合わせていた。


人の死は常に身近にあるもので、埋められた死体もよく見る光景であった。

しかしそれは百年程前の戦争や内乱が起こっていた頃の話、今はどのように死んだとしても適正に対処される。

一般的に町外れには広い墓地があり、少し大きな町では納骨堂がある。

死者は誰にも妨げられることが無いよう、教会から信頼されている墓守によって管理されている。


ヒュ「心苦しいがこのままにして先を急ごう」


レ「そうですね」


レンシーは頷くと十字を切り離れた。

ヒュドラは複雑な表情を浮かべエモに出発するぞと伝えた。


エ「ねぇ何があったの?」


ヒュ「後で教える」


何かあった時はまず教会へ行く。覚えましたね?

それでは次の町到着まで話を進める。



町に着いた。この町の名はブラックベリー、鉱山が有ることで有名だ。

鉱山ということなので宝石が採取されているかもしれない、情報は山ほどありそうだ。

そんなことよりまずは教会に行かねばならない。



ブラックベリーの司祭(以下:BB)「また死体が見つかったのですか!?」


説明を聞いた司祭は声を上げ答えた。

またとは?何が起こっているのだろうか。


レ「またというと、他にも事件が?」


BB「最近の事です、同じような・・・」


司祭の言うことをまとめる。

最近になって鉱山の町で失踪事件が10件以上報告されている。

居なくなっている対象は大人から子供まで様々で、町全体を調べてはいないがもしかすると考えている以上に多いかもしれない。

何人かは残念なことに死体で発見されていて同じよう埋められていたという。

町では不穏な空気が流れ、また明日誰かが居なくなってしまうのではと恐怖を感じているという。

不審人物の情報も入ってきていて大柄の男とだけ。


ヒュ「話は分かった。この名探偵のヒュドラ様に任せなさい」


レ「いつから名探偵になったんですか?それから軽々しく引き受けないでくださいよ」


エ「じっちゃんのな、」


レ「エモそれ以上は言わせませんからね」


ヒュ「でも結局は気になって調べるんだろレンシー」


レ「ええ。もしかしたら宝石の影響を受けている可能性があります」


エ「居なくなった人って別の町に行ったんじゃないの?」


BB「それは可能性としてはありますが、この町に住んでいる人で、親兄弟もいる人ばかりですからね。失踪する理由が無いと言っています」


理由は無い・・・か。

誰かが捕まえてどこかに売る、人身売買の可能性もある。

しかし死体が発見されているということはそれ以外の要因、つまり殺人鬼がいる可能性の方が高い。

対象がバラバラなので複数いるかもしれない。人身売買なら従順な子供を対象にするだろう。

鉱山で働く人たちは皆屈強で連れ去られることは考えにくいか。


BB「近くに住んでいる兄妹も居なくなってしまってね、とても心配しているんです。私は人々の対応でなかなか調査は出来ないので、手伝っていただけませんか?」


腹の底から煮えかえるような憤りとやるせない気分が襲ってくる。

こうして話をしている時も時は過ぎ、消えていく。

気づかないのは罪である、私たちは罪人なのだろうか。

知らずに見過ごし通り過ぎる、罪人の一種だろうか。


エ「早く探そう」


ヒュ「まぁ待て、色々下調べは必要だぞ」


レ「まだ動くべきではありません」


情報不足なのは分かっていた、だが先日見てしまった獣人のあの光景。

手遅れになってしまったらずっと後悔してしまう、今すぐにでも飛び出したいエモだったがヒュドラに抑えられた。


ヒュ「冷静になれバカ娘が」


レンシーは改めて一から情報を整理し始めた。

宝石の行方が分からない事と同じで、どうやったら見つける事が出来るのかを知っている。

まずは情報を得ない事には何も始まらないのだ。

訪れた町でやってきたはずの情報収集、エモは感情だけ先走って無視しようとした。

冷静にならないといけないと分かっていながらも。


ヒュ「レンシー情報をまとめておいてくれ。少しエモと出てくるよ」


レ「分かりました、気を付けてください」


無理に抑えるのは逆効果なことをヒュドラは知っている。

出来るだけやりたいことをやらせ見守ってきた(例として第一章の「扉の先 その1」の最後)。

単に一人にさせると危険だというのが一番の理由だが。


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