宝石の真偽 その5(第二章完結)
幸運とはこの事だろうか、あれだけ聞いて回ったのに情報は無し、それが宿屋でいきなりここに居るとの情報が!
ヒュ「早速ですがその人と会わせてください」
宿屋のおばさん「確認してみるよ、それよりそこのお嬢ちゃん可愛いわね、これから私の部屋に来ない?」
ヒュ「私じゃ駄目ですか?」
宿屋のおばさん「冗談よ、ちょっと待っててね」
おばさんは小走りに二階へ向かって行った。
エ「あの目は本物だったぞ」
レ「ヒュドラあんな人が好みなんですか?」
ヒュ「つい反射的に言ってしまった。好みではない」
これがヒュドラのエモを守る為の発言なのだ。
どうしようもない一言かもしれないが、対象をエモからヒュドラに移行させることで危険を回避させたのだ。
場合によっては諸刃の剣になりかねないが。
しばらくして、おばさんが了解を取ってきてくれたので泊まっている部屋までいく。
レ「お休みの所すみません」
ドアをノックして声をかける。
「どうぞお入りください」
宝石商人と出会うことが出来た。
早速部屋に入り靴を脱いだ。
宝石商人「土足でいいですよ」
ヒュ「ああ、いつもの癖で脱いでしまった」
レ「早速ですが、これを見てもらいたいのです」
エモが持っている袋を開け商人に見せる。
受け取ると、どれどれと拡大鏡をつけ見つめる。
宝石商人「不思議な色をしてますね・・・うーん、私の扱う宝石の中に似たようなものはありますけど、それとは違いますね。
不純物が含まれておかしな色をしているのでしょう、元になっているのはトルマリンだと思います」
エモ「トルマリンって高いの?」
宝石商人「整えられたものならそれなりの価値はありますが、これには殆どありませんよ。
割れた形跡があるしヒビも入ってる、元はもうちょっと大きなものだったはずです。
それにしてもこの宝石、何か魅入ってしまう不思議な気分になりますね、どうです、良かったら譲って頂けませんか?」
ヒュ「売り物じゃないんだよ、すまない」
宝石商人「そうですか、気が変わったら連絡をください」
エ「ところでさ、≪宝石の秘密≫って本知ってる?」
宝石商人「ええ知ってますよ、私も持ってます。一度は扱ってみたい宝石ですね」
エ「もしかしたらこれがその宝石かもって思って」
怪訝そうに宝石に目を落とす。
色々な角度からのぞき込み、うーんと唸る
宝石商人「実物見た事ないので何とも言えませんが、もしそうならその本に書かれている宝石がある美術館に行ってみたらどうですか?
何か宝石同士で引き寄せあうかもしれません」
ヒュ「あんたは宝石商なのに美術館でその宝石見た事ないのか?」
宝石商人「私はまだ成りたて新米でして、見た事ないです、ここから遠いですからね」
ヒュ「美術館に宝石展示してあるんだっけ?本物なのかねそれは」
レ「分かりませんが、行ってみる価値はあるでしょう」
エ「最初から行くつもりだったけどね」
宝石商人「さてと、皆さんのお役に立てたようですね」
レ「ええ、助かりました。これは少ないですが受け取ってください」
レンシーは用意しておいた小袋を渡した。
受け取れませんよと商人、だが押しかけた上に鑑定してもらった。
それだけの礼をしなければ相手に悪い。
取引というものは一方的になると後々ツケが回ってくるもの、[あの時助けてあげたよね?だったら今度助けてよ]みたいな関係に発展しかけない。
回避する為には早めに対処しておかなければ不利になる可能性もある。
無理やり押し付け礼を言い、部屋を出た。
結局本物なのかは分からなかった。
エ「良かったね」
ヒュ「何が?」
エ「これが高価なものだったらさ、奴らから奪ったわけじゃない。ちょっと罪悪感あるなって」
レ「価値が無くても罪悪感を感じてください。でも神は許してくださるでしょう」
ヒュ「本当かよ、レンシーやっぱり背教者だな」
レ「私達の目的は何ですか?宝石を集めることでしょ?それに彼らは宝石の事を覚えていなかった。
それを司祭である私がこの太陽が沈まなくなる状況解決の為に役立てようと持ってきただけのことです」
少し強めに答えた。
特権とは素晴らしい。本来なら追及される方はとことんやられるはずだが、仲間に司祭が居るということは教会からの使命を果たす為にある程度の無茶も許容されるのだ。
エ「少し落ち着いて、もう休もうよ。疲れたよ」
ヒュ「部屋に行くぞ。レンシーこれでも食って落ち着け」
レ「だからやめろって!!」
ヒュドラの手に乗っていた緑の植物を払い除けた。
その衝撃で飛び、エモの顔にぶつかって落ちた。
エ「・・・」
レ「さっさと寝ますよ、明日も早く出発しましょう」
エ「寝よ寝よ」
夜はまた更けていく。




