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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第一章
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旅立ちの日 その1

誰しも他人より秀でた長所があるはずなのである。

しかし自分ではそれを見つける事ができず、自分の口で得意な事を言ってもそれは間違いかもしれない。

必ず何かしら持っていることを自覚していると、今は分からずともいつか知ることが出来る日が来るのを待てない人が多い。

その長所が人の役に立つか立たないかは問題ではない、知るべき日はそのうちやってくる。


それはさておき、国の中心部の大都市から遥か遠くに住んでいる主人公。

名前はエモ。学者だった両親は他界してしまい、一人で生活をしていた。

近所には昔からの知り合いの魔法使い「ヒュドラ」ってのがいた。

彼は少し変な人だが悪い人ではなかった。

そんな彼と一緒に旅をするなんて思ってもみなかった。

心意気は前に書いてある通り、信じたものは疑わない、純真無垢とはこの娘のことだと言わんばかりの表現だが、それとはちょっと違う気がする。


家を出ると私に気付いたヒュドラが声をかけてきた。


ヒュドラ(以下:ヒュ)「よう、冒険にでもいく恰好してどこ行くんだ?」


エモ(以下:エ)「ちょと世界救出に」


ヒュ「おいおい、近くのコンビニ行く感覚かよ!」


呆れた様子で会話を続ける


エ「なんかさ、こう、胸の奥底から湧き上がってくる情熱ってのあるでしょ?」


ヒュ「まぁ、あるね」


エ「それが来たんだよ!だから行ってくる!」


ヒュ「ちょっと待てもうちょっと説明しろ、ここは大都市じゃない、分かるな?大都市とは違いこの町の門から出たらモンスターが沢山いるの知ってるだろ?」


エ「うん、でも大丈夫だよ」


ヒュ「大丈夫じゃないだろ、まぁ確かにお前の槍捌きは見事なもんだからな」


褒められて悪い気はしない。躍る心を抑えきれず足を一歩踏み出した。


エ「それじゃ行こうか」


ヒュ「まて、どこへ行く?」


エ「だから世界征ふ・・・いや世界救出に」


ヒュ「具体的には?」


エ「宝石集めに・・・」


ヒュ「なんだそれ知らんな」


エ「この本見てよ。」


鞄の中から古く薄っぺらい本を取り出す。

学者だった両親が私の為に読んでくれた本の一つだ。

昔話の一つだが、今でも宝石探しをしている人がいるという。

それほどこの宝石は魅力的で話のネタが尽きない。

殆どの人が見た事が無く、本当に伝説なのだろうと言われている。


ヒュ「なになに、≪宝石の秘密≫とな?」


エ「そう、宝石の欠片を集めると願いが叶うって」


ヒュ「へー、そんなの信じるんだ」


エ「うん、そう思ったら身体が動いてさ、何かしないといけないと感じたんだ」


ヒュ「・・・」


長い沈黙の間ヒュドラは考えていた。これはまずい、このまま行かせたら絶対に死ぬ!

どうにかやめさせようと思ったのだが、言いだしたら聞かないのは前から知っていた。


エ「この本によると、その一つが美術館に飾られてるらしいんだ。だからそこに行こうと思う」


ヒュ「知らない名前だな」


エ「私は知ってるよ。それじゃ出発!」


ヒュ「ま、待て!明日からでもいいんじゃね?」


エ「今からだよ、今から」


エモの意志は固いようだ、何を言っても聞きはしない。

ヒュドラは考えた挙句答えをだした。


ヒュ「分かった。俺も一緒に行く。これから準備するから出発は明日にしろ」


エ「流石ヒュドラだな」


エモは不敵な笑みを浮かべていた。

しまったと思ったが、実は騒がせている現象についてはヒュドラも少し気になっていた。

宝石について思う所が少しあり、人ごとでは無いような気がした。

自分からどうにかしようと思っていた訳ではないのだが、エモを一人にさせるべきではないと判断したのだ。


ヒュ「分かったら早く家帰れ」


手を振り、振り返るとドアを開け家に戻っていった。

そういえば、ドアの前で話していたんだっけな。

はたして少女は世界を救うことができるのだろうか。


ヒュドラは一旦家に戻り出発準備をしていた。

この先長い旅になりそうだ、色々と心の準備もしておいた方がいいだろう。

幸い私にも両親はいない、どこへ行っても問題は無いだろう。

旅立つことを知り合いに報告しておかないとな。

彼なら私たちに同調してくれるはずだ。


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