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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第二章
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宝石の真偽 その3

ヒュ「渡りに船とはこの事だな」


エ「船などない」


ヒュ「確かに」


どうでもいい会話をしながら男たちについていく。

川沿いは春の陽気に包まれていて、時折川面から魚が飛び跳ねる。

いつまでも呑気な気分でいきたいものだ、この景色さえもいずれは姿を隠し川は干上がってしまうだろう。

自然に対抗し得るものは無い、身を任せるとしても太陽に焼かれるのだけは真っ平だ。

小一時間ほど川沿いの踏み均された林の中を川上の方に歩いてきた。

少しひらけた場所に水車小屋があった。

この水車小屋横の川の中央へと伸びている桟橋から対岸までが一番狭い場所だという。

あまり距離は変わらないんじゃない?とエモは思ったが、濡れるなら少ない方がいいし、この場所は他よりも浅いという。


ヒュ「流れがゆるやかだな。ここに水車小屋作ったの間違いだったんじゃない?」


荷物を持った男B「あまりに早すぎるとすぐ壊れちまうからな。橋だってそうだ、

近道だが流れが早すぎると流木が来た時に勢いよくぶつかるんだわ。今回も流木が原因で壊れたんだろうな」


荷物を持った男A「さっさと渡っちまおうぜ、遠回りしたから暗くなる前に町まで行きたいからな」


レ「結構水が冷たいですね、泳ぎを選択してたら心臓止まってしまいますよ」


ヒュ「それじゃ俺は先に行ってるわ」


フライ(空中浮遊)の魔法、自分だけは浮いたまま移動できる。

長時間使用はできない。


エ「なんかヒュドラだけずるいよな」


レ「文句は言わずに行きましょう」


膝下まで水に浸かったが無事に対岸に着いた。

このあとまた川下へ行くより真っ直ぐ進んだ方が近いというのでまたついていくことに。

これも何かの縁、一緒に町まで行きましょうと荷物男AとB。

よく知らない町に出入りする二人、宝石商人について何かしら情報を得られるかもしれない。

しかし聞いてもよく分からないとのこと。俺らはただの運び屋だと言っていた。

夕方前に町に着くと礼を言い別れた。


レ「ここが大きな町(通称イエローレモン町)ですか、大きい建物がいっぱいありますね」


エ「凄く大きいです」


世間知らずの旅人は周りに何もない所から来ている事が多く、これくらいの建物を見ると感嘆してしまう。

実際には国の中心部に行けばここよりも発展して高い建物もいっぱいある。

ここは町で都市ではない、所詮町なのだ。つまり一向は田舎者というわけです。


さて旅の基本は情報収集である、つまり町に着いて最初にやることといえば酒場に行くこと。

飯も食えるし酒も飲める、この世は天国じゃないかと思う。

しかし今回はレンシーの提案で先に教会に行くことにした。

流された橋についての報告をしなければいけない、司祭という職は雑用もこなす万能職なのです。

なり手は多いが、狭き門ゆえ実際に司祭になれる者は少ない。

なってしまえば職権乱用じゃねーか?と思う程の待遇は良いが、非常に大変である。

昨今の司祭大移動、つまり国からの要請で太陽が沈まない状況を打破する為に働かなくてはいけないのだ。

これ以前にも色々と国を支える、一言で言えば凄い人達なのです。

宗教の自由は保障されていますが、たちの悪い異教徒は弾圧されます。


ヒュ「そうか」


レ「あれ?ヒュドラは驚かないんですか?」


ヒュ「建物はデカイけどね、それは今の俺たちには関係ないことだ、先を急ごう」


エ「ちょっと、歩くの早いよ」


ヒュ「早く教会へ行かなければ、俺の膀胱が破裂しそうで!」


それはともかく近場で用を済ませた後に出発。

今回も止めることは出来ませんでした、ちゃんとご飯は食べてるはずなのですが、どうしてこうなるんでしょうか。

無暗に野草を口にするというのは馬鹿がやる所業、それにエモも乗っかって更に悪いことになりそうだ。

これは少し教育という折檻が必要になるかもしれませんね。

レンシーのイラつき度は徐々に溜まっていくのである。

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