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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第一章
15/128

扉の外(第一章完結)

それから、レンシーは門番を連れてきて事情を説明、人が集まってきて大騒ぎになった。

ヒュドラ達も色々問いただされた、何故こんな夜にこの場所にいるのか、どうやって入り込んだのか等々。

これについては門番が気を利かせ対処してくれた。

頼りになる男だ、女だったら惚れているかもしれないとヒュドラ。

捕えられた三人は目を覚ましたが、今までの出来事、獣人を殺したことを忘れていた。

それに今までの不自然な状況、階段に魔法やら急に門番を置くようになった事やらも抜け落ちていた。

宝石の影響だと考えた人はいない、宝石の伝説は昔話の中のものだと誰もが思っていたからだ。

ヒュドラ達は宝石の事を告げてはいない。

言っても信じてもらえないし、言って宝石を持っていかれたら旅の意味を見失いそうになるからだ。

ただ、この三人は誰かに洗脳されていたようだと報告し対応してもらった。

あの門番から見せてもらったパンフレットを渡しながら。

本当の事を言うことが正しいとは限らない、知らなくてもいい事もある。

三人が事件を起こしたのは明らかだ、一人はこの工場の所長、ナイフを持って最初に倒れた男だ。

二人はただの従業員。やってしまった事実は消えることは無い、これから当然の報いをうけるだろう。

ただ人殺しとは違うのでそれほど咎められないはず。

どうして、同じ生き物なのに罪は同じではないのだろうか。



レンシー「エモはどうしました?」


ヒュドラ「教会で休んでるよ。疲れたんだろ」


エモはこの先旅を続けないかもしれない、だがそれでもいいと思う。

いつ来るともしれない非常事態まで呑気に過ごしていればいいんじゃないか?

疲れたな、大変だった等々他愛もない会話をしていると、


「おーい」


遠くから声が聞こえる、振り返るとそこには門番・・・ではなくエモがいた。


エモ「あのさ、色々考えたんだ、それで・・・これからもまだ旅を続けようと思う。

やっぱり私が宝石集めて何とかしたいし」


らしくないエモの姿にヒュドラが笑う。


ヒュ「そう言うと思ったよ、宝石はお前が持ってろよ、お前なら取り込まれる事はないだろうからな」


意志の強い者にこの宝石にかけられている魔法は通じないだろう、だから安心してエモに託せるのだ。

エモはよいしょっと首に掛かっていた袋を服の中から取り出し広げる。


エ「これ知ってる?懐かしいでしょ」


知っているには知っている。給食袋だ。

しかも袋がデカイ、レンシー並みだ。見た事ないけど。


レ「ちょっと袋が大きいですよ、もうちょっと小さいのにした方が動きやすくないですか?」


エ「これでいいんだよ、他のものも入れられるしさ。これお母さんの手作りなんだよ」


ヒュ「成程な、それなら更に安心だ」


三人は顔を見合わせ笑った。心にはまだ不安は残っていたが大丈夫そうだ。

前だけ向いて歩こう、いや下も見ないと転ぶから見よう、あ、横から何かが来るかもしれないから横も、だったら全部残らず見て歩こう。

これだけやって見つからないものはないはずだ。宝石だって何だって。


レ「さて、これからどうします?」


ヒュ「そうだな、次の町を目指そうか。その前に腹ごしらえだな」


二人は頷き歩き出した。






「ちょっとまったー!!」


あれ?何かが走ってくる、マツタケかな?


門番「ちょっと待ってください」


ぜえぜえ言いながら門番が向かってきた。


ヒュ「え?どうしたの?」


門番「話したいことがありまして」


レ「そういえば獣人がどうやって連れてこられたのか調べられるらしいですね」


門番「はい、それほど時間はかからないだろうとのことですよ」


ヒュ「成程ね、じゃ行こう」


門番「いや、ちょっと、待ってくださいよ」


ヒュ「まだ何か用なの?」


門番「まだって、何も言ってないでしょ」


エ「食品工場どうなっちゃうの?」


門番「当分は封鎖ですね、住民の不安が取れるまで」


ヒュ「成程ね、もう行こうか」


門番「いやいや、それは違うでしょ」


ヒュ「ああそうか、礼を言ってなかったな、ありがとう、おかげで助かったよ。それと仕事を無くしてしまいすまなかった」


門番「そんなことはいいんです、あのですね、もしよかったら私も連れて行ってもらえませんか?」


旅は道連れ何とやらと言うように多い方が心強い、しかし門番が仲間になった所で足手まといになってしまうだろう。

そして、こんなところでパーティが増える予定はない、優しく断る言葉を考えることにした。


レ「これからの行先はまだ分かりません、それでも来るというのですか?」


門番「もちろん、あなた方の力になりたいのです」


ヒュ「駄目だ、第一お前は結婚しているし子供もいる。そんな奴を危険な旅には連れていけない」


門番「問題ありません」


エモ・ヒュドラ・レンシー「大有りだ!」


そんなこんなで、また同じように洗脳みたいな事件が起こったら知らせてくれ、これは君にしかできない事だよと唆し門番を家に帰らせた。

ドッと疲れがやってきたが、今度こそ出発しよう。

次の町へ。



この後腹いっぱい食べた。


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