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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第一章
13/128

扉の先 その2

ヒュドラは先制、三人にレッグロック(足を止めの魔法)をかけた。

その後にエモの槍の柄で思いっきり突いた。

ナイフを持った男は呆気なく倒れそのまま気を失ってしまった。

残るは二人、こちらは変な気配がある。

レンシーはというと二人が攻撃している間に獣人の元へ駆け寄った。


レ「まだ息がある」


傷つき顔面蒼白、息も絶え絶え。

しかも胸部から腹部にかけてナイフによる失血、下半身に至ってはもう見ていることが辛くなる程の状態だった。

ヒール(回復魔法)を使っても小さな傷なら治せる、しかしここまで酷い状態だと悪化させないようにすることで精いっぱいだった。

持てる力のある限り絶え間なくヒールをかける。


レ「ヒュドラ、思ってる以上に深刻です、早めに終わらせてください!」


ヒュドラは無言で頷く。

広くない部屋の中、相手が暴れ回れば回復さえままならない。

相手にかかっていたレッグロックの効果は薄れエモとヒュドラ目がけ走ってくる。

片手で手斧を振りかぶる男、それを軽く受け流すがもう片方の手で殴られる。

その衝撃で後方に倒れ込むがクッションのようなものがあったおかげで大ダメージを食らわずに済んだ。

ベチャッ・・・クッション・・・ではない、無造作に置かれていた塊だった。

身体に纏わりつくにおい、染み出す液体。

咄嗟に手をついた時に爪に食い込んだ黒く柔らかいもの。

正体は分かっていた、理解したくはないが、これらは獣人のなれの果てだ。


エ「く、お前ら絶対に許さないからな」


手斧を持った男「何が許さないだ?俺たちは加工してるだけだろ、へへ、見てみろこの肉、最高にうまそうじゃないか。

食ってみれば分かるって、ほら、へへ」


床に転がっている塊を拾い、見せるつけるようにかじる。


手斧を持った男「ああうまいなぁ、うまいなぁ。この真っ黒になった肉、お前達はかわいそうだなぁ、こんなうまいもの食えなくてなぁ!!

かわいそうだからお前らも肉にしてやるよ、おいしいおいしいお肉にな!!」


笑いながら塊を投げつけ、襲いかかってきた。

急いで立ち上がるエモ、隙有りと大股で踏み込む二人の男、形勢は悪かった。


ヒュ「何してる、さっさと構えろ」


すかさずレッグロックをかけ足止めする。

エモは男が持っている武器目がけて槍を突く、しかし強化されている腕に持つ武器はびくともせず打ち払われるばかりだった。

ヒュドラも攻撃すればいいかもしれないが、今の状況ではそうはいかなかった。

レンシーは獣人の元にいる、相手は二人の男しかも強化され武器を持っている。

広くはない部屋で攻撃魔法を使えば味方にも被害が及ぶ可能性がある。

一番得意のファイア(炎の魔法)では部屋の中の酸素を食い尽くす可能性があるので使えないし、ヒュドラに肉弾戦は不向き。

それだったら相手の攻撃を妨害してエモの槍で対処した方がよかった。

ヒュドラの考えをレンシーは理解出来る、いつもどうにかしてきたが、エモはどうだろうか。


エモは動揺していた。殺意を持った人と対峙することは初めてだった。

ヒュドラが何とかしてくれると半分思っていたが、足止めしているだけで私に任せっきりになっている。

しかし泣き言など言わない、今この状況を打破する為には私がやらなければいけないのだから。

私を守る為足止めしてくれた、チャンスをどう生かすか、答えは攻撃するのみだ。


長い剣を持った男の存在も忘れないように、彼もまた足止めを食らいもがいている。

こっちの方は錯乱しているようで、何か喚きながらあたり構わず剣を振り回していた。


エ「ヒュドラまずこっちから相手する!」


そう言われて長い剣の男のレッグロックを解いた。

どうにか外そうとその場で動き回っていた男、固定されていた時とは違い剣を振った勢いでバランスを崩し後方に倒れ込んだ。

これで二人目は押さえたもも同然だ。

持っていた剣を落としたのを確認した、それっ、と槍の先で剣の刃を突くと粉々に割れた。

一丁あがりと槍の柄で男の鳩尾みぞおち辺りをついて気絶させた。

残るは一人、手強そうだが大丈夫、私には仲間がいる。


ヒュ「よし。その調子だ。なかなかやるじゃないか」


エ「当たり前だ」



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