扉の先 その1
場違いな光景とはこの事をいうのか。
目の前で行われていること、それは獣人の虐殺だった。
それは生きながら叫び続けている。
「あああああああーーーだsgtkえれええええーー」
二人がかりで体を押さえつけ、もう一人が獣人の足にナイフを振りかざす。
何度も何度も上下をさせながら、飛び散る何かは汚れきった作業着にぶつかりいやらしく滲む。
笑いながらナイフをもう一度振り上げた時、光が不自然に歪み誰かが扉を開けた事に気が付く。
呆気にとられていた三人がそしてナイフを持った男と対峙した。
男「何だお前ら、どうやってここにきた?」
焦点が合わない男、口角から赤い泡を吹きだしながら迫ってくる。
獣人のそばにいた二人も立ち上がりこちらを見ていた。
見れば分かる、こいつらに何を言っても通用しないことが。
狂ってやがる、どうすればいい。
エ「どうしてこんな酷いことができるんだ!」
ヒュ「何を言っても無駄だ、とりあえずこいつら大人しくさせないと、やられちまうぞ」
壁にかかった長い剣、そして色の変わった手斧、それらを手に取る二人がいる。
相手はやる気満々だ。
彼らの腕は異常に腫れ上がり血管が浮き出て今にもはち切れそうで、何かで強化したように力が溢れていた。
ヒュ「レンシー、頼むぞ」
レ「分かりました」
司祭を顎で使う魔法使い、阿吽の呼吸とでもいうのだろう何をすべきか判断をくだした。
ヒュドラはいつも威張っているように見える、しかし冷静さは誰よりも持っているので嫌味にならない。
彼が指示を出すのは決まって危機的な状況にある場合が多い。
今回はこちらの三人が危機というわけではないが、優先させるものがあれば真っ先に行動する。
レ「ヒュドラ、エモ、気を付けてください」
エ「分かった」
本当に分かっているのだろうか、エモは感情的になりやすい。
ヒュドラがうまく荒れそうな雰囲気を流しているから今まで穏やかにしている。
ってことはヒュドラが主人公の方がいいんじゃない?って思うかもしれないが、やっぱり女の子が主人公の方が何かと面白みが増すじゃない。
それはともかく、今すぐにでも頭に血が上り暴れ出しそうな様子のエモ。
大丈夫だ、何とかなる。
ヒュ「エモ、暴れてもいいぞ好きにやれ」
エ「よっしゃきたーー」
どうにかなる、いつもそれで乗り切ってきた。




