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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第十章
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水と油 その1

ヒュドラの追ってたHは犯人ではなさそうで、レンシーの追ってたLは怪しいものの決定的な証拠は見つからず、エモの対象Eは所在を掴めないままだった。

朝になり、どうするか話し合った結果、対象Eをみんなで探すことにした。


ニアス(以下:ニ)「ねぇ見て見て、パカラッパカラッ、ユニ子だよ」


ヒュドラ(以下:ヒュ)「はいはい、かわいいですね」


馬の人形を走らせるニアスを適当に受け流すヒュドラに不満げだった。

この人形の馬は一体なんなんだ。


レンシー(以下:レ)「ヒュドラこの人形から何か感じますか?魔法がかけられているとか」


ヒュ「いや、特には」


ニ「ちょっと!ちゃんと見てよ!」


ヒュドラの顔に人形を押し付けるが、これといって感じるものは何もなかった。



対象Eは町にいるらしい。

住んでるところはこの先だとレンシーは地図を見ながら言った。

それじゃこの子に案内させようとニアスが狼の子を指さしたのでエモはさりげなくその指を握った。


レ「いいですか?少し距離ありますが行きますよ」


エモ(以下:エ)「いいよ、行こう」


ヒュ「余計なことすんなよ」


何かしらやらかしそうなニアスとエモを牽制するヒュドラはレンシーの後についていく。

十数分後、対象Eの家が見えた。

ここは直接話を聞いてみるとする。


レ「こんにちは。誰かいませんか」


扉をたたく。少しして中から対象Eが出てきた。


E「何か用ですか?」


レ「初めまして、私は司祭をしているレンシーというものです。最近美術館で宝石の欠片が盗まれた事件の調査をしてまして、知っていることがあれば教えていただきたいのですが」


E「ああ、あの事件か。知ってる事でよければ、どうぞ中へ」


案内された。

話を聞いてみるとなかなかの情報を持っていた。


E「盗まれたとき私は警備の仕事をしてました。ですが、誰も盗んだところを見てないですし、展示してある場所は常に二人以上が見張ってる状況ですから奇妙な話ですよね」


レ「変わったことなかったですか?」


E「私は勤務三日目でしたけど、変わったことがあっても分かりません」


ヒュ「近くを通った時に感じたこととか気配とかは?」


E「そうですね、なかったかと・・・あ、そういえば通路が濡れてたような気がしました。雨が降ったわけでもないのに。誰かが水でもこぼしたのでしょう」


レ「水ですか」


ヒュ「美術館を調べる必要があるな」


とりあえずEに礼をし、美術館の調査をすることに。

道中、ヒュドラから話をした。

もしかしたら犯人に逃げれてしまう可能性が高いことを。

なんで?とエモは聞いたがとりあえずは調べてからとヒュドラは答えた。


水か・・・もしかしたらこれは厄介になりそうだとヒュドラは思った。

水を伝ってその中を行き来できる特殊な能力がある魔法使いがいるという話を聞いたことがある。

繋がっていればどこに居ようと問題はない。

もし実在するなら厄介なことになりそうだ。

しかし、手に入れてどうしようとしたのか、この欠片だけあってもどうすることもできないはずである。

単なる金儲けなのか、それとも同じような行動を起こしているというのだろうか。

気づかないだけで他の美術品も無くなってはいないだろうか。



美術館の館長に話をすると、そういえば無くなっているものが何個かあったという。

たいした価値が無い物だが展示されている物ではなく、鍵の掛かった場所に保管してあったガラクタらしい。


レ「無くなっていたことは確かなんですか?」


館長「ええ、その物を置いた次の日に部屋に入った時に気づいたので確かです」


ヒュ「他に部屋が濡れていたとか気づいたことなかったか?」


館長「・・・言われてみれば床が濡れていましたね。ふき取るのに雑巾を探しましたよ。ん?なんでそんなことを聞くんですか?」


ヒュ「決まりだな」


ヒュドラは確信する。やはり特殊能力を持ったものの仕業のようだ。

何度か試した後にメインの欠片を取っていったに違いない。

犯人捜しは長丁場になりそうだがもしかしたら美術館の別の目玉になるような物を獲物として置いたらまたそいつが狙いにくるかもしれない。

今はまだ何が狙いかは分からない、価値あるものなのか欠片なのか。

もし欠片が狙われていたのならエモの持っている欠片を使えば釣れるだろうか。


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