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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第十章
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月下麗人 その5

エ「どうしよう」


ニ「どうしようか」


迷った時に動き回るのは得策ではない、更に深く迷い込んでしまう可能性がある。

助けを待つか、いや、この場所はヒュドラとレンシーは知らない、ここは対象Eの家からは離れた林の中なのだ。

狼と猫は疲れているようで座り込んだままでった。


ニ「あれ?あっちに何かありそうだよ?」


ニアスが指さす先にうっすらと赤い光が見えた。

誰か近づいてくる?

しかしその光は付いたり消えたり、何かの合図のようだった。


ニ「あ、いかなきゃ・・・」


エ「え?ちょっと、ニアス!」


ニアスは赤い光があった方へと行こうとしていた。

狼と猫は何かを察したようでニアスの服を咬み行かせないようにした。

エモも止めようと肩に手をかけたが振り払われてしまったのでニアスの頬を引っぱたいた。


ニ「痛っ!なにすんの?」


ニアスは正気に戻ったようだ。

エモは更に不安に陥った。



エモ達が迷い込んだ林は町から離れた場所にある、昔は森であり迷い込んだ者は二度と出られないと恐れられていたのだ。

現在は開発が進み森が林になりそういった噂は無くなりつつあるが、林の規模自体はそれほど縮小されてはいない。

物好きがこの林の中に家を建て、そしていつしか住まなくなると幽霊が出ると噂が出るようになる。

そうかと思えば林の中で不可思議な出来事に遭遇したとか湖が現れて妖精が飛び回ってたとか色々言われている。

湿度が高く、寒暖差で霧が出やすいのも原因だろうか。


ニ「ねぇ、あっちに行かなきゃいけない気がするんだけど」


またか、とエモは思った。

けれど今回は正気なようだ。

確かにあの赤い光は気になる、もう光ってはいないけど。


エ「進んでみようか」


ニ「うん」


狼と猫は落ち着いてついてくる。

大丈夫だよね、行っても・・・。

ニアスの手をとり数歩歩くと急に辺りは真っ白、霧に包まれていた。


ニ「うぉ、急に何も見えなくなった」


エ「大丈夫、すぐ晴れるって」


不安は一層増している。

が、急に視界がひらけ目の前に見慣れる生き物が現れたのだった。


エ「な、なにこれ!」


角の生えた馬がいた。

見たことある、子供の頃に見た絵本の中の生き物にそっくりだった。


ニ「君が呼んだんだよね?」


馬は頷く。

ニアスは微笑みながら馬の頭を撫でた。

エモは茫然と見ているだけだった。

なにこれ、夢?こんな生き物現実にいたっけ?

ヒュドラの持ってる不思議生物大辞典には載ってたかな?

ユ、ユニコーンに似てる・・・。

というか超展開きましたわー。


エ「ニアス、どういうこと?」


ニ「この子が何か教えたいことあるって。行こう」


エ「お、おう、行きますか」




レンシーは町の外れまで来ていた。

町で二人の進んだ道を聞き込みで調べていたのだ。

ニアスの連れた狼は目立つらしくすぐに判明したので早歩きで向かった。

エモ達が林に入っていった場所は遠くはなかったがもう少し時間がかかりそうだ。

現地へ行く途中で不思議な赤い光があるのを見つけた。

なんだろうと身構えているとその光は徐々に近づいてくるのに気付いた。

まずいことになりそうだ、ここはヒュドラに貰ったアイテムで連絡しなければいけないだろう。

レンシーはポケットをまさぐりアイテムに手をかけたのだが、赤い光がより大きくなり、そして急に目の前に現れたのだ。


レ「うぉっ、まぶしっ」


咄嗟に目をつぶってしまったレンシー。

瞼から感じる光は収まったらしい、レンシーはそっと目をあけてみた。

そこにはエモとニアスがいた


エ「あれ?レンシーがいる」


ニ「もしかして脱出成功?」


レ「何が起こったんですか?ってその馬は?」


エ「え?これ?」


ニ「ユニ子だよ」


レ「・・・え、えーと、今なんと?」


レンシーの問いかけにニアスが答えようとしたときその馬は赤い光を放ち消えてしまった。

そして何かが落ちる音がして目を向けると小さな人形があった。


ニ「ユニ子?」


あの馬そっくりな頭に角の生えた人形、今まで幻を見ていたのだろうか。

確かにそこにいた、はず。


レ「ちょっと驚きましたが二人が無事で何よりです、さぁ戻りましょう」


エモとニアスは呆気にとられていたが正気に戻ると「そうだね」とレンシーに従った。

ニアスは落ちていた人形を拾うと小脇に抱えた。



エモ達が宿屋に戻るとヒュドラは開口一番に対象のことを聞いてきた。


エ「それが何の成果もありませんでした」


ヒュ「えーこんな時間かかってたのに?」


レ「ヒュドラも人のことは言えないでしょ」


エ「でも聞いてよ、ユニ子が居たんだよ、ほらこれ」


ニアスが人形を見せたが、誰から見てもただの人形に過ぎなかった。

そして結局四人は何の情報も得られないまま一日は終わってしまった。


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