eternal return その4
たき火の、燃えて上がる火が小さな複数の目を浮かび上がらせる。
人の目と違い、獣の瞳は夜光るのだ。
それが消えるとたき火めがけ何かが飛んできて、着弾すると燃えていた木をばらまいた。
レ「しまった!」
炎は衝撃で消えそうになっている。
今は真夜中で灯りを失うわけにはいかない、このままではやられてしまう。
レ「ヒュドラ、何か魔法ないですか?」
ヒュ「サーチライトか?この状況だとあまり役立たないな」
レ「他には?」
ヒュ「ない事もないが、仕方ないな。ご希望に応えよう」
ヒュドラは魔法を唱え始め、少し離れた木を見つめ右手に力を込めた。
ヒュ「ファイアーボルト」
木に向かって放たれた炎はこちらを見つめる目をくらますように、暗かった空間を一気に明るくさせた。
炎は一本の木を包み込むとゆっくり燃えだした。
ヒュ「燃えた木まで行こう」
レ「山火事になりませんかね?他に方法無かったんですか?」
ヒュ「今はそんな事は二の次だろ?レンシーが急かしたんじゃないか」
レ「それは・・・そうですけど」
ヒュ「おいエモ、目覚めたか?」
エ「たぶん、大丈夫」
夜明けまでまだ時間があるが、それまで持ちこたえることが出来れば活路を見出せる。
しかし、不利な状況を覆すことはできるのだろうか。
ヒュ「エモ、相手は見えるか?」
エ「いいや、全く」
レ「まずは防御に徹しましょう」
明るくなった辺りに動揺したかのような蠢きがあり、それに加えて雲で隠れていた月が姿を現したので今まで見えなかった彼らの爪が鈍く反射しているのが分かった。
赤く光る瞳とその姿は薄らと見える、相手は狼なのは間違いない。
集中して見ているとレンシーは体が動かないことに気付いた。
声も上げられない、視線は助けを求めヒュドラ達を見るがヒュドラもいつ襲ってくるかもしれない狼を警戒していた。
恐怖が襲いくる、動けず叫べない、相手は分かってやっているのだろうか。
茂みから一体大きな狼が姿を現した。
見た事もないような、通常個体よりも一回りは大きいだろう。
近づいて、立ち止まり咆哮をして。
合図か?
目の前の狼は姿を消した。
ヒュ「どこだ?」
エ「危な!」
レンシーの頭めがけ爪を振り下ろそうとした所をエモの槍が防いだ。
一度防いだはいいが、何度も攻撃しようと威嚇している。
再びの咆哮、更なる狼が襲いかかってきた。
ヒュ「あーもう、どうなってるんだ!おいレンシーサポートしてくれ!」
レ「・・・」
ヒュ「面倒だな、おいエモ!レンシー蹴っ飛ばせ」
エ「わかった!」
エモはどうなってるか分からなかったがレンシーを蹴った。
その衝撃でレンシーを縛っていたモノが外れた。
レ「すみません!今行きます!これを使ってください!」
レンシーはエモに小さな石を投げた。
それは前のブルーランドという港町で入手した石(第八章 OPTIMAL PERSONA その3あたり)だった。
これを受け取ったエモは槍にくっつけると今までよりも軽やかに振り回した(この石には魔法がかけられていて重いものが軽くなり、物質とくっつくことによりその物も軽くなる。時間経過によって効力を失う)。
ヒュ「さぁこっちだ、来い!」
ヒュドラは狼ではなくレンシーを見た。
レ「え?何ですか?」
ヒュ「か、回復に決まってるだろ、結構やばい状況」
レ「すみません、こっちも防ぐことでいっぱいいっぱいでした。これを使ってください!」
レンシーが投げた瓶がヒュドラの頭にぶつかって割れた。
ヒュ「痛ぇ・・・けど少しは回復したわ!」
不利な状況は続いていた。エモとヒュドラは何とか応戦しているが、狼の攻撃は激しく、受け流すだけで精いっぱいだ。
しかも今はニアス不在、気を抜くとやられてしまうかもしれない。
ヒュ「駄目だ、きついぞ!エモ、レンシー少し耐えてくれ、ニアスをもう一回たたき起こす!」
エ「ニアスの存在忘れてたわ!」
レ「りょ、了解です、お願いします!」




