eternal return その3
ニアスは寝かせておくことにして、見張りの順番はレンシー、ヒュドラ、エモ、ニアスの順に。
エモ「それじゃ先に休むよ」
火の爆ぜる音はすぐさま聞こえなくなり深い眠りについた。
遠吠えがまた聞こえる。
それは聖堂にいる司祭にも聞こえてきた。
エモ達を心配して眠りにつけずにいた司祭は祈りを続けた。
司祭「どうか彼らの行く先に祝福を」
どうにか出来ないものか、いくら考えても対策は浮かんでこなかった。
ただ祈るだけしかできないもどかしさが余計に心をざわつかせる。ざわ・・・ざわ・・・。
見張り中のレンシーにもはっきり聞こえたその遠吠え、かなり近い場所から、もしかしたらここに狼がやってくるかもしれない。
考えが甘かったか?いや、今までの経験からそんなはずはない。
しかし、その経験よりも上をいくことがあるとしたらまずい事になるかもしれない。
人の血を覚えた獣は、その臭いを辿り求めるという。
そして通常の獣よりもっと獰猛になるらしい。
レ「起きてください」
レンシーは眠っているヒュドラとエモを起こす。
ヒュ「・・・ん?何だよ、もう交代か?」
レ「いやそうではなく・・・」
ヒュ「もう少し寝かせてくれ」
レ「何か近づいている気がするんです」
レンシーの感じている気配は狼という確証はないが、徐々に近づいてくる遠吠えはどう考えても狼だと確信している。
ヒュ「火があれば大丈夫なんだろ?」
あくびをしながらヒュドラは聞く。
レンシーも大丈夫だと思っていたが火に免疫のある狼であった場合には無力なのである。
とある旅人は火のついた木の棒を振り回すと、狼たちは後ずさりをし警戒をしていた。
お互い動けぬまま時間だけが過ぎ火は消え始める。
ランプに入っている油はまだ残っている事に気付いた旅人は急いで取りに行ったが、狼に足を噛みつかれてしまった。
なんとか火をつけようと痛みに耐えながらランプを掴み火をつけようとするが、運悪く落としてしまいランプが割れてしまったのである。
手に持っていた火はその油に落ち、油のかかった旅人はみるみるうちに火に包まれていった。
狼たちはその様子をただ見ていた。
消すことができなかった旅人は瀕死の状態になり、狼を仰ぎ見ながらその命を終わらせた。
火は怖れるものではない、しかし諸刃の剣であることを知っている。
レンシーの心配は現実的になっている。
このままでは最悪の事態になると。
まだ時間の猶予があるのだが、今のうちに移動か対策を取らなければ危険だろう。
レ「動けますか?」
ヒュドラはこの状況を把握した。
ヒュ「はぁ・・・仕方ないな、おいエモ起きろ」
疲れが取りきれていなので頭もあまり働いていない。
それをどうにかして戦闘態勢に持っていく。
形勢は不利だろう。
エモは頭を揺らして起きたがニアスはまだ起きそうにない。
レ「動けますか?」
ヒュ「何とかな・・・おいニアス起きろ!」
それでも起きないニアス。
ため息をつきながらエモに支持を出す。
ヒュ「ニアスを安全な場所へ」
エ「うん・・・って安全な場所ってどこ?」
まだ寝ぼけているエモは辺りを見回したが安全な場所は見当たらなかった。
ヒュドラはニアスを抱きかかえ村のある方へ向かった。
先程ニアスが手懐けた狼が目を覚まし一緒についてきた。
ヒュ「ここら辺でいいかな、よいしょっと」
少し離れた岩の影にニアスを寝かせた。
ヒュ「おい、いいかげん起きろ!」
二「うーん、ムニャ・・・」
起きそうにない。
心配だがこのままにするしかない。
その時レンシーが叫んだ。
レ「みんな、来ますよ!」




