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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第九章
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eternal return その1

夕食が済み、これからの行動計画を整理する。

今夜は司祭の好意に甘え聖堂に泊まることになった、これは計画通りだ。


司祭「明日にでも村長に会っておくといいだろう」


レ「そうですね、それが一番ですね」


司祭「私に出来る事は何でもしよう。これは村全体の存続に係わるからね」


ヒュ「期待してます」


と、ヒュドラは何かを貰おうと手を差し出したがレンシーに叩かれた。


レ「今回はニアスにかかってるのでサポートお願いしますよ」


ヒュ「分かってるって」


ニアスを見ると深刻な顔をしてると思いきや何事も無かったようにネコを撫でている。


エ「うまくいきそう?」


二「んー。やってみないとわからんよ。大丈夫だと思うけど」


エ「それもそうだね」



夜は深くなりまた遠吠えが聞こえている。

誰も知らない場所でそれは静かに蠢き、まだ温かいそれには目もくれず次の獲物を狙っている。

増え続ける存在意味のない塊、彼らにとってそれは意味のある殺戮であった。

生き物の死によって私たちは生き長らえている、ただ感情を補うための殺しは身勝手であり理解することはできないだろう。

常軌を逸した存在、誰もが心の中に秘めている感情。

爆発することなく一生を過ごすのが当たり前だが、その当たり前は人それぞれで手遅れな場合も。



レ「明日は早くから行動しますからゆっくり休んでください」


ヒュ「お前ん家じゃないのに偉そうだな」


レ「それは関係ないでしょ、忙しくなるから今のうちに休んでおかないと駄目でしょうが」


エ「ニアスはもう寝てるし、私も寝るよ」


レ「私はちょっと調べものを」


ヒュ「言った本人が休まないとな?」


レ「私はいいんですよ、慣れてますから」


ヒュ「お前こそ休んでおけよ、前みたいになりたくはないだろ?」


レ「・・・まぁ、そうですね・・・少ししたら寝ますよ」



そして夜が明けて霧の朝。

小さな窓から見えるはずだった山の麓の小麦畑、穂が揺れているのは風かそれとも何かが通って動いているのか今は知る由もない。

レンシーは早めに目覚め司祭の手伝いの為パンを買いに出かけていた。


レ「エモおはようございます、外は霧で視界がはっきりしませんね」


エ「おはよう、雨降ったのかな?」


司祭「この時期は霧が出やすいんだよ」


レ「そうなんですか」


エ「雨降ってた?」


レ「降った形跡はありましたね」


レンシー買い出しの時に商店の周りにある小麦畑の穂にも水分を含み垂れ下がった様子を見ていた。

名産品を作る適度な湿気がこの町を潤しているのだろう。

それはさておき、まだ寝ているニアスとヒュドラを起こして朝食へ。


レ「そろそろ出発しましょうか」


ヒュ「そうだな、最初はなにやるんだっけ?」



これからの行動を改めて確認しよう。

まず村長に会い旅人を襲う狼について話を聞く、その後ニアスが狼を捕まえる。

以上です。



聖堂を出てすぐにカニの異変に気づくニアスであった。


二「おお、ちょっと湿気が多くてカニが潤ってる!」


ヒュ「ホントだ。少しだけ赤みが取れているな」


ニアスのカニは先の戦闘により茹で上がってしまった状態のような色をしていたが、日に日に元の姿に戻っているようで毎日ニアスが水をかけて世話をしているせいか本来の色を取り戻しているようだ。

だがまだ美味しそうな色をしている。

それはともかく村長の家はすぐそばにあり扉を叩くと快く応対してくれた。


村長「よく来たね。旅人は大歓迎だよ」


レ「少し話を聞きたいのですが」


村長「ささ、中へどうぞ」


家の中へ案内され早速質問を投げかけた。


レ「私達は旅の者で私自身は司祭をしています。ここ最近はこの村の近くで狼に襲われる旅人が多いと聞きました」


ヒュ「狼対策が進んでないみたいだけど何か理由があるんですか?」


村長「そのことですか。今の所は対策は行っていませんよ。旅人の方々には申し訳ないのですが村人の皆さんに被害がある訳ではないので。


レ「実際旅人が狼の犠牲になってると聞きます。それに村の人達は訪れる人が少なくなって困っているとうなのですが」


村長「そうですね、それは私も把握していまして、具体的な対策を実行することが難しいのです。

この村は狼と共存しているのはご存じでしょうか?」


レ「ええ、この村の司祭から聞きました」


村長「危害を加える狼に対して駆除するわけにはいかないのです。それよによって狼との関係が崩れてしまい私達の生活を脅かしかねません」



村は村で対策を講じる事なく、なすがままになっている。

これは他人から見たら憤りを覚えるが、本人たちにとって死活問題なのである。

共存といえど狼は話の通じる相手ではない。

駆除することは村長としても村人としてもやりたくはないだろう。

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