第2章 見習い魔法師の日常 01
こっちのストックが切れてしまったぁぁぁ!!
というわけで急遽書き上げましたので、短く、内容も雑です。そろそろどっちを連載させて、どっちを休載するかきめねば……。
「いやぁ、ありゃすげぇ見ものだったぜ黒菜!」
「蒼。その話もう七回目だ……」
転校初日だと言うのに色々あった一日だった。そして、初日にできた唯一の男友達の蒼がテーブルを挟んで大声をあげている。話す内容は六時間目の樋口裕也との模擬戦だ。
最初のうちは褒められ、少し良い気になったが、あまりにも場所と時間を考えずに話すためうんざりしてきている。
「いやぁ、自分は野暮用で見ることが出来なかったっすから羨ましいっすわ」
「え? 翡翠。お前蒼よりトイレ長いの? あっ……腹痛は大丈夫か?」
「あおっち、こいつぶん殴って良いっすか?」
「なんで?!」
人が折角心配してやったというのに、手を引き、殴る準備をする翡翠。更に言うと蒼まで「やっていいぞ」という始末である。これが理不尽というものか。
「ですが、これ以降あのような無茶はしないでください」
「シロ。あぁ、悪かった。気をつけるよ」
隣で精進料理定食……今日は間に合わなかった……を食べているシロがこちらをジッと、見つめながら言う。自分としては壁外で指導を受けていない野良魔法師と何度も戦ってきたため、むしろいつも通りだった。しかし、その常識が安全な壁内には通じないだろう。
「さて、と。晩飯も終わったしあとは寝るだけだな」
「ん……そーだなー。俺らは寝るだけだが、トライピース以上の人間は精密検査があるぞ?」
「そうなのか?」
その話をシロに確認すると、毎日晩御飯が終わったのちにあるらしい。そんなの夕方前に行えば良いのでは? とも思ったが、やはりそこは初等部と中等部の時間待ちらしい。この学校、少しだけ高等部に厳しい気がする。
そして、星持ちの二人と別れ、俺たちはそれぞれの自室に戻った。ベッドに腰掛け、天井を仰いで溜息をつく。
「色々、あったなぁ……」
「まだあるよ?」
「うわっ!?」
てっきり、自分の部屋には自分しかいないと……それが普通なのだが……思い。声をかけられて驚いてしまった。そして、俺に声をかけた本人は、
「神門校長?」
「そうそう、神門です。黒菜くん。言い忘れてたけど、キミも精密検査があるよ」
「…………まぁ、そりゃそうですよね」
どこから登場したとか、驚いた、という感情全てが失せたため、そのまま無言で校長について行く。どうやら、転移の魔法……魔術?……らしいものを使っての移動だったらしい。
そして、到着した場所は簡単に言うならば病院の施設のようだった。CTスキャンのような機材もあるし、それを観測する場所もある。少しだけ違うのは、全体的に部屋が暗いことぐらいでかくだんきにすることではない。
『それじゃあ、そのスキャン機に寝そべってくれる?』
部屋の外から聞こえるマイク音声に俺は無言で、行動で答える。俺が寝そべったのを確認すると、すぐに全身がスキャンされていく。
『んー……災厄は少量。まぁ、災厄刻印を使わなければこうなるか。黒菜くん、以上だよ』
「……了解です」
こうしてスキャンも終わり、先ほどと同じ方法で部屋に戻される。今後とも俺のスキャンに神門校長がやって来て、転移で部屋まで行くらしい。まぁ、トライピース以下の俺が精密検査の場所に向かっていたら不審に思われるだろうし。それが一番だろう。
ーー災厄刻印。
左手のグローブを脱いで、手の甲を見つめる。そこには、星刻印と同じような形の刻印があるのだが、通常よりも真っ黒で禍々しい。
災厄刻印は星刻印と異なり、一つだけで魔法を発動できる。三つ揃わずとも使える魔法。しかし、通常とは違うのは別に利点だけではない。これを使うと、体内中の災厄因子が増えるらしい。その因子は人の心を蝕む。
心から溢れる魔力を使うのではなく、心そのものを蝕す。
「俺は……これからどうしたら良いんだよ……桔梗……」
死んだはずの彼女の名を呼び、俺はそのままベッドに倒れこんだ。