第1章 見習い魔法師の魔法学校 01
「と、言うわけでシロ君。今日からクロナくんの教育係をお願いするね?」
目の前の優男が、俺、暁黒菜を見ながらそう告げた。
「ちょっ!? 神門先生?! 私はそんなこと聞いていませんよ!!」
そして、一緒に隣に立つ銀髪の女性が綺麗なソプラノボイスで喚く。
「まぁまぁ、良いじゃないかシロ君。無関係、というわけじゃないんだからさ」
「確かにそれはそうですが……」
神門、と呼ばれる先生の申し出にシロと呼ばれる女性はたじろぐ。無関係ではない。ということは一体どういうことなのだろうか。それを質問しようと女性の方に向き直ると、女性もこちらをキッと睨み、
「分かりました。一応、引き受けます」
と、ひとこと。
それに対して俺は、
「あ、はい。分かりました……」
としか、言いようが無かった。
西暦2112年6月2日。今日も快晴だが、その天気に反比例するかのように俺の心は曇天模様だ。
◇ ◇ ◇
もう、百年前の話だ。科学の躍進により、魔力が感知されたあの時から世界はゆっくりと、だが確実に終焉へと向かっていった。
化石燃料などの資源が無くなりかけ、さぁ、エコな時代の幕開けだ。という瞬間に訪れた最高で最悪な世界の分岐点。無論、世界は面倒くさい道を捨てて楽な道に乗り移ったのは説明するまでもない。
そして、世界は資源の枯渇という問題を乗り切り、
新たに魔力の枯渇という問題が起きた。
◇ ◇ ◇
「というのが、今の状況だね。あとは何かあるかい?」
少々長めだが、理解するには最小限で尚且つ分かりやすい神門校長先生の説明を聞いた後に、質問は無いかと俺に催促が来た。
正直な話、あまり質問しても他のことは理解出来ないだろうしここで話を適当に切らせてもらう。
「いえ、あとは自分で勉強します」
「ほぅ、勉強熱心だね。そういう姿勢は先生嫌いじゃないよ。そう、例え男の子でもね!」
あれ? おかしいな、普通の会話のはずなのに寒気がするぞ?
「まぁ、暫くはシロ君が君の面倒をみてくれるから、分からないことはその都度質問しなさい」
「はい。ありがとうございました」
話をするために座っていた来客用のソファから立ち上がり、俺は神門校長に一礼して部屋から出た。俺が出てから数秒後に、シロ、と呼ばれる女性が退出してくる。
「えっと、シロさん。でしたっけ? 俺は暁黒菜。今日からよろし……」
「学生寮に行きましょう」
最後まで言わせてくださいシロさん。
初めまして。初作品ですが、生暖かい目で見てください。基本的に分量は少なめなので、第1章 何々 01というように02、03……というようになっていって一章が終わる感じにさせていただきます。
三月中は13時に毎日更新する予定です。一人でも読んでくだされば、私としては感謝感激なのです。
それと、ジャンルは一応ファンタジーにさせていただきました。学園物といえば学園ですが、それ以外のシーンも多くなる予定ですし、ローファンタジーとしての括りに入るかと思ってのジャンル選択です。