第参話(tre)
「だが断る!」
津村がそう言い放った瞬間、津村と萩原を挟んでいた机が爆発した。
「同盟なぞ、結んでいたら絶対に勝つことなどできない!」
ーーーだから私はお前を倒して願いを叶えるーーー
津村によって萩原を狙うように次々と教室が壊されていった。
高校生達の悲鳴が飛び交う中、萩原はひたすら考えていた。
どうしよう…
僕が自分の能力に気づいたのは幼稚園の時だった。
そう、『作って遊ぼ(デミウルゴス)』を見た時だった。
しかし、知って(わかって)いてもいままで使うことはできなかった。
だが、いまなら使える。なぜだかそう思うのだ。
『神的能力解放』
「僕の能力は全てを作る能力!いいさ、津村よ。君が勝者になるというなら、僕が相手をしてやる!」
煙が立ち上がる中、津村と萩原は向かい合う。
「…」
津村は無言で指を萩原に向ける。
「僕のもう一つの名は『求めし者』。すべてを求め、すべてを作る、『貪欲(強欲)』の罪を背負いし者、!」
そう叫ぶ間にも、あり得ないことが起きていた。
いままで津村が壊してきた教室がみるみる戻っているのだ。
いや、再構築していると言うべきか。
これが、萩原の悪魔としての能力。
天地創造を操る能力。
どんな物でも作ることが可能。
次から次へと、萩原は新たなる物を作り出す。
今度は刀。
闇色に染まる刀が萩原の手に創造されていく。
「うおおおーーー」
萩原はそう刀をあげ、津村へと向かう。
「これは触れたものを殺す殺人刀。こんな物も僕は作れるのさ!」
まさに、津村は絶対絶滅!
ーーただし、刀が触れればの話だ
が…
萩原は津村に触れる前に倒れたのだ。
「なんで…」
「我が名は『破壊せし者
。与えられし罪は『傲慢』」
貴様は俺に勝てない!
萩原はまるで水にとける泡のようにこの世から去った。
萩原DEAD END