指輪
指輪の宝石はいつの間にか青くなっていた。それはアリスと出会った頃にみた瞳の色と同じだった。
窓の近くに行って太陽に照らしてみたり、授業中には教室の蛍光灯にあててみたりした。
「その指輪って彼氏から?あれ?でも、かえでって男嫌いじゃなかったっけ?」
「いや、彼氏というか…そう。友達から!」
昨日初めて会ったけど、友達だよね…? うん。きっと、友達友達。
「へぇ。私以外にも友達いたんだ」
綾音が感心というより、馬鹿にした感じて言ってきた。
「あっ、バカにしたなー!私だって友達の一人や二人ぐらいいますー」
「はいはい、そういうことにしてあげる。っと、そうだった。今日委員長会あるから一緒に帰れないから先帰ってて」
「えー」
「それと忘れてるんだろうけど、折りたたみ傘は?」
あ。そういえば、現実に戻ったときに私の鞄はあったけど、綾音から借りた折りたたみ傘は落ちてなかった。まさか…。
「アリスのところかも…」
「え?」
「取ってくる!また明日ね、綾音!」
机に掛けた鞄をひったくるように取って、私は校舎を飛び出した。
「あの路地裏にある水たまりから行けたんだから、今日もあるよね」
とかつぶやきながら路地裏に入った。
「え」
水たまりがなくなっていた。
「えぇぇえ!ちょっと、どうやっていけばいいの、これ…」
はあ。アリスのばか…。
「もう帰るからねー」
わざと大きな声で言っても、水たまりどころか何一つ変わらない。静まり返った路地裏が気味悪く感じて慌てて引き返した。
綾音への言い訳は後で考えよ。それか新しいの買って謝ろうかな…。
結局、雑貨店に寄って家に帰った。
鞄を放り投げて、ベッドにダイブした。
「はぁ」
指輪を手の上で転がしたり、宝石に触れてみたりしたが、何も起こらない。
「あっ」
手から指輪が滑り落ちた。キャッチしようとしたが、指輪は指先をすり抜けて唇に触れた。
瞬間、淡い光が私を包みこんだ。
「ちょ、ちょっと待って!」
床に放り投げた鞄を慌てて抱え込む。
_一瞬にして世界が変わった。




