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5話 余命あと、5時間。
午後7時 - 夜のカラオケ
カラオケで、みんなで歌いながら笑っていた。
結衣も何曲か歌ったが、心の中では、ずっとその一曲を歌いたいと思っていた。
でも、誰にも言わずに心の中でその思いを抱えていた。
歌い終わると、みんなが
「結衣、歌いなよ!」
と言ってきた。
結衣は、少しだけ息をついてからマイクを取った。
曲は、昔から好きだった“世界に1輪だけの花“だった。
歌いながら、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえていた。
でも、やっぱり泣いてしまった。
みんなが驚いた顔で見つめる中、結衣はただ笑って言った。
「大丈夫、泣いてなんかないよ。」
その一言で、みんなも笑い、結衣もまた笑顔を作った。