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3話 余命あと、13時間。
午前11時 - 偶然の出会い
昼休み、結衣は屋上で一人、空を見上げていた。
静かな風が頬を撫で、心地よかったが、心はどこかに置き忘れたようにぼんやりとした。
「結衣?」
突然、後ろから声がかかる。
振り返ると、そこには少し前から気になっていたクラスメートの拓也が立っていた。
彼は、結衣が何も言わずにいるのを見逃さず、声をかけてきた。
「どうしたの? 元気ないみたいだけど。」
結衣は一瞬言葉に詰まるが、やがてしばらく黙ってから言った。
「なんでもないよ。ただ、なんとなくね。」
拓也は少し不安そうに結衣を見つめた。
「それ、何か隠してるでしょ?」
結衣はその言葉を飲み込み、ただ笑顔を作る。
「本当に、なんでもないよ。」
拓也は結衣の目をじっと見つめたが、結局何も言わずに頷いた。
「でも、無理はしないでね。」
結衣はその言葉に少しだけ心が温かくなるのを感じた。