2/6
2話 余命あと、15時間。
午前9時 - 普通の朝
結衣は、どうしても学校に行きたかった。
最後の日だとしても、いつものように友達と過ごしたかった。
母親に何も言わずに家を出た。
学校の教室に着くと、いつも通り、友達が元気に話している。
彼女たちの笑い声が、結衣には少し遠く感じられた。
「結衣、どうしたの?」
友達の彩花が心配そうに声をかける。
結衣は笑顔を浮かべる。
「なんでもないよ、ちょっと寝不足なだけ。」
彩花は
「また遅くまでゲームしてたんでしょ?」
と冗談を言ったが、その言葉が結衣の胸に突き刺さる。
何も言えなかった。
普通の一日がこんなにも切なく思えるなんて。