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1話 余命あと、16時間。
午前8時 - 明るい朝
桜井結衣は目を覚ました。
いつも通り、目覚まし時計の音が鳴り響く。
だが、その音が何故か耳に染みつくように感じる。
目を擦りながら時計を見ると、8時を指している。
いつもなら慌てて飛び起きるところだが、今日は違った。
「今日は何か、少し違う気がする。」
結衣はベッドから起き上がり、カーテンを開けた。
外の空は晴れていて、風も穏やかだ。
何も特別なことはない、と思う。
けれども、この感覚は何だろう。
胸の奥がひどく痛い。
携帯を手に取り、メッセージを確認すると、見慣れた名前が並んでいた。
友達からのメッセージや通知が届いている。
でも、その中に一つだけ、今まで見たことのない通知があった。
それは病院からのものだった。
結衣は目を見開き、手が震える。
「余命1日と診断されました」
…まさか、こんな日が来るなんて。