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第3話 負の連鎖

俺は泣いていたがゆっくりする暇もなく、急いで着替えて教室に戻り次の授業の準備をした。


俺は席につき、ただ顔を伏せて泣いていた。そこにルイが近づいてきた。

「さっきは大丈夫?ザンガってちょっと強いからって調子乗るよね。あいつの事なんて気にしなくていいからね!」

慰めてくれるのか。本当にいい子だ。

「う、うん。ありがとう。」

こう言ってくれるのは嬉しいが、もう学校には行きたくない。行ってもただ虐められるだけ。今日は入学初日なため、俺は3限目で帰ることになっている。あと2限は乗り越えよう。

先生が来た。一旦集中だ。

「じゃあみんな席に着いてー今日は魔法の構造について授業していくぞー」

そうそう。俺は魔法系のものを学びたいのだ。これは楽しくなりそうだ。

「魔法っていうのはどのように発動しているか分かるか?魔法ごとに魔法陣があってその中に点がある。その点と点を己の魔力で繋げる。そして発動されるんですね。」

そうなのか。ためになる。

「詠唱はどんな意味があるんですか?」

そこは俺もに気になっていた。いい質問だ。

「詠唱こそ魔法陣を創り上げるために必要なんだ。じゃあ無詠唱はどのようにしているか気になるだろ?それは己の魔力で魔法陣を作るということだな。」

「さらに魔法は…………」


あっという間に時間が過ぎ、休み時間に入った。ザンガがまた虐めに来るのだろうか。


「よお雑魚。ちょっと飲み物買ってきてくれよ。お金はお前から出せよ。」

パシリにきやがった。

「場所も分からないし、無理だよ…」

このガキ。今ここで殺してしまおうか。

「ちょっとやめなよ!可哀想でしょ!」

ルイ…なんで助けてくれるんだよ…

「あ?俺に口答えするとはいい妥協してんじゃん」

ザンガはルイに殴りかかろうとした。

俺は体が勝手に動いた。

氷槍(アイススピア)…」

俺の魔法はザンガの頬に傷をつけた。

「こいつ…お前らこいつをいつもの場所に連れてくぞ。」

どうせ殴られるんだろうな。でもルイを守れてよかった。

「アスくんを離しなさいよ!」

ルイはザンガの腕を引っ張る。

「邪魔なんだよ!」

ザンガはルイの手を振り払った。


俺は倉庫のようなところに連れられた。

「こいつの服脱がしてやろうぜ」

ザンガの取り巻きが俺の体に触れた。

「触んなよ」

つい言ってしまった。

「こいつ殴ってもいいすよね?」

俺は取り巻きに何発も殴られた。

俺は血だらけ。殴られすぎて感覚がなくなってきた。意識も朦朧としてきた。


俺は目を開けると保健室にいた。横には保健室の先生。

「大丈夫?傷だらけで倉庫に倒れていたから、急いで手当してたのよ。」

もうここにいたくない。俺は傷だらけの体をなんとかして起き上がらせ、荷物を持ち学校を出た。家までの距離が長く感じる。

学校はやっぱり嫌いだ。結局なにも変わらない。味方なんていないし、助かる道なんてない。なろう系主人公のような人生を送りたかったが、もう無理そうだ。

俺は顔を上げると家に着いていた。扉を開ける。出迎えてくれたのはクレア。

「おかえりってどうしたのその傷?」

クレアが尋ねてきたが、俺は無視をした。一人になりたい。俺は自分の部屋のベッドで横になった。クレアが昼飯を持ってきてくれたが、全く喉を通らない。苦しい。


そこから俺は引きこもるようになった。クレアとハンスが何度も学校へ行くように説得したきたが、全て無視した。だが、魔法の練習なら続けた。魔力の調整、魔力量の増加、新しい魔法の修得。


引きこもりになってから数週間経った頃突然誰かが訪ねてきた。

それはルイ。俺のことがどうしても心配で、来たらしい。

「アスくん、大丈夫?またアスくんと授業受けたいな。魔法系の教科だけ来てみない?アスくん魔法得意でしょ?氷魔法で守ってくれたのかっこよかったよ。」

「あ、ありがと。」

「だからさ、魔法について教えてほしいなーって。」

「考えるよ。」


その日からルイは魔法を教わりに毎日俺の家に来るようになった。

「魔法を使う時は…………」

教えながら、ルイと話していくうちに毎日が楽しくなっていった。

「学校行ってみようかな。」

俺がそう呟いた。

「うん!約束だよ!絶対来てね!」

眩しい笑顔でルイは言った。

「うん。約束。」

 

早速だが行くのは明日。緊張なんてものはない。

俺は明日の用意をして、眠りについた。


光が窓から差し込んでくる。いよいよ当日。

俺は身支度をし、出かける準備が整った。


「いってらっしゃい!」

クレアが見送ってくれた。

「いってきます。」


俺は学校までの距離を家で修得した風魔法と身体能力魔法の組み合わせで、スピードを出して学校に向かった。


教室の扉に立ち、息を呑む。俺はドアを開けた。一度目にした光景。不安なんて一切ない。俺は自分の席につき、授業の準備をした。準備をし終えたその時、ルイも教室に入ってきた。

「おはよう!」

ルイは元気に挨拶してくれる。

「おはよう。」

ルイは俺の引きこもりを治してくれた恩人だ。感謝しかない。

「一限目は魔法実習だね!アスくんの魔法楽しみ!」

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

そんな他愛もない会話をして、時間を潰した。


ようやく一限目。魔法用の体育館的なところがあるらしいので、ルイに案内してもらいながら一緒に行く。

「着いたよ!」

すっごいでかい。校舎レベルだ。

「一緒の席に座ろ!」

「う、うん!」


「では今日は魔法実習です!しかも対人!今までに習ってきた魔法を駆使して、魔法の出来や応用、対応力などで成績をつけていきます!」


「みなさんには痛覚、防御魔法の他に、フィールドの結界を張るので、思う存分魔法を使ってください!」


「一緒に頑張ろうね!」

ルイもすごく楽しみそうだ。

「そうだね!」


俺の最初の対戦相手は…うわ。ザンガだ。まあいい。叩きのめしてやるよ。


「よお久しぶりだな雑魚。今回も俺がボコボコにしてやるよ。」

調子に乗っているな。

「お手柔らかにお願いね」


先生が合図を送る。

「よーいスタート!」


ザンガは下級魔法の炎を出してくる。

「ザンガ様ファイアー!」

弱すぎる。

「一発お見舞いしてあげますよ!」

俺が今使える最大級の高難易度魔法を相手にぶつける。

「風神の加護があらん…………」

氷風破壊(アイスウィンドバースト)!」

風に氷を纏わせる。風の切れ味に触れた瞬間凍るほどの威力。そして広範囲。逃げ道などない。

「おい!反則だろ!」

ザンガは必死に下級魔法で抗っている。

「焦らなくて大丈夫ですよ。別に死んだらはしないので。まだ時間はあるので、もっと僕の魔法を見てくださいね。」


炎渦(ファイアーボルテックス)!」


俺の周りを炎の渦で囲う。


「これだけじゃないですよ」


その炎の渦をさらに範囲を広げる。


「熱い熱い!」


ザンガは苦しんでいる。流石にやり過ぎか?まさか防御魔法を貫通してしまったのか?だったらザンガが可哀想だ。傷つける気はなかったんだが…

俺の魔法は解け、ザンガを見ると少しだが火傷をしている。

「ごめん!火傷するとは思わなくて…」

「うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!」

ザンガは自信のある魔法が全く効かなかったことで、自分のプライドが傷つき、精神が不安定になっている。

先生がこちらに駆け寄ってきた。怒られるかな。

「ザンガさんは保健室に行ってちょうだい。そしてアステリアさん…」

先生は神妙な顔もちでこちらに話しかけてくる。

「は、はい。」

怒られるのではないか。流石に怖いぞ。

「あなたすごいわね!まさに魔法界の新星!私の防御魔法を貫通して、あんな最上級の魔法を使える。先生ですら全く扱えないのに。」

良かった。褒められた。怒られるかとヒヤヒヤしたぜ。

「魔力はどれくらいあるか分かる?」

「今の数値は確か…100前後くらいですかね」

「すごすぎるわ…大人でも100を超えたら天才と言えるほどなのに…是非3ヶ月後の魔法試験を受けてみない?」

「魔法試験…?」

「魔法試験っていうのは、魔法使いとしての階級を上げるための試験よ。魔法使いには階級があって、下から4級、3級、2級、準一級、1級、王級、天級、聖級、そして神級。あなたなら年齢的に2級くらいなら難なくいけると思うわ。」

そんは階級があったのか。恐らくこのようなことは学校で学ぶんだろうが、入学前にやってしまっていたのだろう。

「じゃあ受けてみたいです!」

こんな絶好のチャンス逃すわけにはいかない。

「分かったわ。帰ったら親御さんにこのことを話してくれる?」

「はい!」

俺は先生と話し終えると、教室に戻った。次の授業の準備をしていると、周りに人が集まってきた。

「アステリアくんすごいね!」

「とてもかっこよかったよ!」

「お前強いんだな。」

「魔法教えてほしいー!」

ここまでみんなが褒めてくれるなんて、気分がいいものだ。

俺はチヤホヤされるのが夢だったんだ。一生この感覚が続いて欲しいね。

みんなが俺の話題で盛り上がっていると、ルイも教室に戻ってきた。

「アステリアくん…」

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