第0話 転生
こういうのを作りたかった!
俺の名前は…いや…そんなのどうでもいい。俺は死んだんだ。なんでだったっけな。思い出せない。そんな事より不安になることがある。
これから俺はどうなるんだろうか。ずっとこの空間に取り残されるのか?それとも、またこの憎たらしい世界に生まれるのか?恐い。
ふと顔を上げると、誰か人がいる。だが、なんだかよく分からない。体の造形も、顔も何も見えない。でもそこに誰かいるのは分かる。この不思議な感覚はなんなんだ。
「おい。あんた誰だよ」
「名乗るものでもない。率直に言うと、お前は死んだ。これからお前には1から人生をやり直してもらう。」
「そんなのごめんだね。もう戻りたくねえよ…」
俺はこの世界にうんざりしている。絶対に戻りたくない。このまま空間に取り残される方がずっとマシだ。
「因みに拒否権はないぞ。」
「は?最悪だよ全く…」
クソ。気分は下がりまくっている。
「君は本当に口が悪いね。仕方がないから、とあることを説明してあげよう。魂って言うのはね、ずっと彷徨い続けることはできないんだ。」
「ということはあれか。今の俺は彷徨い続けてるってことか。」
「お!案外察しがいいね。その通りだよ」
案外って何だよ。こいつは本当に俺をイラつかせるのが上手いな。
「あとちょっと彷徨い続けると魂ごと消滅しちゃうからね。本当なら行きたい世界とか、出来るだけ希望の通りに決めるんだけど、もう時間ないから私が適当に決めちゃったんだよね」
なんだこいつは。勝手に決めて、勝手に転生させられるのか?そんなの黙ってらんねえよ。
「どういうことだよ!今すぐにでも決めさせろよ!」
「無理だよ。だって時間ないんだもん。君がここに来てから、ずっと下向いてたから、時間が押してるんだよ。」
「俺のせいにすんなよ!」
「だって君のせいじゃん。って事で次の世界でがんばってねー」
は?嘘だろ?もう転生するのか?
「待て!まだお前には聞きたいことが…」
視界が徐々に狭まっていく。暗い。
体感だが、数分経った頃にようやく音が聞こえてきた。人が歩く音。うるさいな。
視界も少し明るくなってきた。さらに時間が経ち、目を開けるとそこには謎の石橋が。
少し街灯のおかげで明るいが、こんなところで赤子一人とはどういうことだ。周りには親がいない。
まさか、捨て子の体に魂が入ってしまったのか?
(助けてくれ!マジでやばい!このまま死んで、またあいつと会いたくねえよ!)
そう焦っていると、何故か泣き出してしまった。別に悲しい訳でもないはずなのに。
これが赤子の本能か。やっぱり泣き出してしまうものなんだな。
泣いていると、少しずつ足音が近づいてくる。徐々に…徐々に近づいてくる。
なんだ?俺の里親かなんかか?
その足跡が俺の真横に来て、俺をだっこしだした。
顔を良く見ると、白髪美女。しかもデカい。
(うわ!デカい!すごい!可愛い!)
「一体誰がこんなところに赤子を放置したのかしら。ねえあなた?」
「そうだな。流石に心配だ。一度家に連れて、世話した方がいいんじゃないか?」
この美女の夫は金髪イケメンだ。すごいなおい。
「そうよ!私たちの子供にするってのはどう?子供は何年経っても出来ないし…」
「そうだな。明らかに故意でここに放置してあるし、このまま育てて、物心つくまでに里親が見つからなかったら、それはそれでまずいしな。」
「取り敢えず、この子を家に連れ帰りましょう!」
コツコツコツコツ
なんていい夫婦なんだ…捨てられた赤子を拾ってくれるなんて…
「この子の名前はどうしましょう?」
次期母がそう口にした瞬間に俺が勝手に喋り出した。
「あすえいあ……」
俺はなにを言っているんだ?俺はまだここの言語も知らず、喋ることすらできないはず…何故だ?
「この子アステリアって言ってるんじゃない?」
「そうだな。この子の名前はアステリアに決まりだな。でもこの年で自分の名前を言えるもんなんだな。」
普通は言えないだろう。おかしい。体が覚えている感覚…
そんな事を考えてる暇に、さっきの街からは外れ、村?のような緑の草原が広がったところに出た。
暗くてよく分からないが、何故か安心する景色だ。癒される。
そうもしないうちに、家に着いたらしい。ごく普通の家。木造で日本っぽくはないが結構オシャレだ。
「まずはこの子にご飯を食べさせましょう!ミルクを飲ませればいいのよね!」
「多分な。本にはそう書いてあったもんな。作り方はこの本の通りにやればいいんだな?」
「そうよ。私はこの子をあやしておくから、ミルクが出来たら持ってきて」
「ああ。分かった」
いい両親だ。子育ても初めてながら、正確に進める。特に良いところは、やはり母が可愛いところだ。デカいし、目の保養になる。こんな美女はスマホの画面越しでしか見たことがないぞ。
「よし!作ってきたぞ!」
「ありがとう。はーい飲みましょうねー」
案外美味いな。これは何杯でもいけるかもしれない。
「よく飲むなー!これは将来強い男になるんじゃないか?」
「そうね。必ずたくましく育つわ」
ミルクを飲んだら、なんだか眠くなってきた…この体だと眠気に全く抗えない…
これから頑張るぞー




