ボクのプロローグ
「ほら、真唯。学校に行く準備はできたの?」
「え?もうこんな時間!?準備はできてるよ!」
「そう?真唯は早めに出ないと道に迷うから気をつけていくのよ?」
「もう、そこまで子供じゃないのに」
「そう言ってるけど、この前だって地図見ながら迷ってたじゃない」
「どうしてそれを!?」
「ともかく、早く行かないと遅れちゃうわよ?」
「はーい、じゃあ行ってきます!」
ボク、月代 真唯は今日から高校1年生。そんな入学式の日にボクは寝坊しかけて、慌てて家を飛び出した。そしてそこには……
「真唯ー!」
「結花ちゃん!」
「いやぁ、真唯を1人で行かせたら学校にたどり着けないだろうと思ってここで待っててよかったよ」
「結花ちゃんまでそんなこと言うの!?」
「まあ、真唯の方向音痴はすごいからねぇ」
「うぅ、そんなにかなぁ」
「そんなに、だよ?」
「そうなのかぁ……」
「まぁまぁ、そんなに落ち込まなくても私がいるんだからさ」
「そ、そうだね」
「じゃあ駅に行こっか!」
「うん」
なんと、わざわざボクの事を待ってくれていた友達の星崎 結花ちゃんがいた。正直な話、ボク1人だとたどり着けないかもしれないのは事実だったので、口には出さないけど内心で感謝しながら学校への道のりを進んだ。
「でも学校遠いのによくここ選んだね」
「それ、結花ちゃんが言う?」
「まあ、そうなんだけどもね?」
「うん。ボク中学の友達にあんまりいい思い出がないから……」
「おっと、なんだか暗い話になりそうだね!話題振った私が悪いけども話変えよっか!」
「うん、何話す?」
「やっぱり恋バナじゃない?」
「恋……かぁ。ボク、今のところその予定はないなぁ」
「えーー。まあ、高校に行けばいい出会いもあるでしょ!」
「そうだといいなぁ」
「もう、そんなに否定的にならないの!せっかくの高校生活なんだから楽しんでいこ?」
「そうだね。結花ちゃんの言うとおりだ!私も高校生活楽しまなきゃ」
そんな他愛もない話をすること1時間。ようやくボク達が今日から通う高校が見えてきた。
「一緒のクラスだといいね、真唯!」
「そうだね、結花ちゃん!じゃあまた後でね」
「うん、また!」
こうして、高校に着いたボク達は仮決めのクラスへと移動するために別れた。
今日から始まる高校生活に期待しながら、ボクは入学式が始まるのを待つのだった。