第7話 守護騎士の役目
翌日の朝、ザルトは昨日からあてがわれた自身の部屋で目を覚ます。
「んう…朝か」
ザルトはそこでベッドから起き上がって辺りを見渡すと当然のようにラムリア城の中の一室であるため、昨日から守護騎士としての生活が始まったことを実感する。ベッドから起き上がったザルトが身なりを整えていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼します!」
ザルトがそう言うとアオラが部屋に入ってきた。アオラはザルトよりも先にこのラムリア城にいるのだが、元々の口調なのか癖なのか敬語は崩さない。
「おはようございます!ザルトさん!昨日はよく眠れましたか?」
「おはよう。ああ、おかげさまでぐっすり眠れたよ」
ザルトは言葉の通りに昨晩はぐっすり眠れたからなのか、疲れが取れたようなスッキリした表情をしている。
「それなら良かったです!これから朝食なので呼びに来たのですが大丈夫ですか?」
「ああ。今、行くよ」
ザルトはアオラについていくとミネルバの私室に連れていかれる。アオラは部屋の前で「失礼いたします」と言うと部屋の中から「どうぞ」と言う声が聞こえてきたため、アオラはザルトを連れて部屋に入る。
「ミネルバ様。ザルトさんをお連れしました」
「ありがとう。おはよう、ザルト」
「おはよう、ミネルバ」
ミネルバが挨拶をしてきたため、ザルトも当然のように返す。ミネルバはザルトとアオラが来るまで待っていたようで、テーブルに並べられている朝食にはまだ手をつけていないようだ。
「昨日はよく眠れたかな?」
「それ、さっきアオラにも聞かれたが…よく眠れたよ」
「そう。それなら良かった」
「朝食はこの通り、できているので3人で食べましょう!」
アオラがそう言うと、3人は同じテーブルを囲んで朝食を食べることになった。
「それじゃあ、いただきます」
『いただきます』
そこから3人は一緒に朝食を食べ始める。アオラの作る料理はとても美味しいため、ザルトも素直に舌鼓しながら食べている。
「美味いな」
「本当ですか!?ザルトさんのお口にも合って良かったです~!」
アオラは自身の作った料理がザルトの口にも合っていることに素直に喜んだ。アオラは家事能力はもちろんのことだが料理も上手であるため、彼女が作る料理はとても美味しいのである。
「そういえば、ザルト。昨日は聞き忘れちゃったんだけど、守護騎士って具体的に何をするの?」
「簡単に言えば主の身辺警護とお世話、主を守るために戦うことかな」
ミネルバに質問されたザルトは守護騎士としての仕事を簡単に説明すると、アオラが話しかけてくる。
「それって私がやっていることとあまり変わりませんね。お世話役は私の方が適任でしょうし、戦闘と言いましてもこの国は平和なので戦うことはほとんどありませんし」
アオラの言う通り、ミネルバの身辺警護や世話役は普段からアオラが務めていて事足りている上に戦闘に関してラムリア王国は平和な国であるため、すぐに戦闘が起こるようなことはない。
「む、そうか。それなら戦闘に関しては訓練させてほしい。適度に身体を動かさないと鈍ってしまうからな」
「そういうことなら構わないよ。訓練の相手はアオラに任せてもいいかな?」
「もちろんです!ザルトさん、それでよろしいですか?」
アオラはミネルバからザルトの模擬戦の相手を頼まれたことで快く了承する。アオラは昨日もザルトの相手をしたこともあって再び戦いたいと思っているようだ。
「ああ。助かるよ」
「まあ、普段はアオラが私のお世話とかしてくれるからザルトは退屈だろうけど、退屈だったらお城の中をまわったり、部屋で過ごしてくれてもいいからね」
「そういうわけにもいかないから、身辺警護くらいはさせてもらうよ。っと、ごちそうさま」
ザルトは既に朝食を食べ終わったようだ。それを見たアオラが空になった食器を下げていく。ミネルバもその後、すぐに食べ終わったようでアオラは纏めて皿を下げる。ちなみにアオラは一番最初に食事を終えていた。
「空になったお皿は下げますね」
「ああ、悪いな」
朝食を終えると、その後はミネルバが政務を行い、ザルトとアオラは彼女の近くに控えるようにして立つことで身辺警護を務めることになった。時折、おしゃべりにも興じたりして楽しい日々を過ごす3人であった。
「2人共、今日はお疲れ様。明日もよろしくね」
「かしこまりました!」
「ああ」
その日は何事もなく一日が過ぎるのであった。明日はアストロ王国の王女であるシャーロットがラムリア王国に訪れる日である。




