第6話 ラムリア王国とアストロ王国
シャーロットとの通信後、ミネルバがソファに倒れ込むように座る。
「はあ~、緊張した~」
ミネルバが緊張の糸が解けたかのような発言の後で通信中はずっと黙っていたアオラがミネルバに話しかける。
「ですねぇ。まさか、アストロ王国の王女様であるシャーロット王女様が直々に電話を掛けてくるなんて…そんなシャーロット王女と幼馴染みの貴方は何者なんですか?ザルトさん」
「何者って、俺はミネルバの守護騎士だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「それは今の話ですよね?あのシャーロット王女様とどうやって幼馴染みになったのか、とか聞きたいんですよ」
「それは本人が来てから聞くといい。今、俺の口から聞いてしまうとシャロが来た時に話のネタが一つなくなってしまうぞ?」
アオラはザルトにシャーロットとの馴れ初めについての質問をするが、今は答える気がないのか、そんな返事をしてきた。
「シャーロット王女様のこともそうですけど、私はザルトさんのことがもっと知りたいわけですよ!」
「そんなに知りたいなら話しても良いが、今度で良いか?俺は今日ここに来たばかりだからな。今日のところは休ませてほしい」
ザルトはこの日にこのラムリア城にミネルバの守護騎士として赴任してきたばかりであるため、隣国からとはいえ長旅で疲れているのだろう。
「アオラ。ザルトの言うとおり、ザルトは今日ここに来たばかりなんだよ?今日のところは休ませてあげた方が良いと思う」
「わかりました~。それでは私は夕食の準備をしますね!」
ミネルバの言葉でアオラは諦めて夕食の準備に向かっていった。するとミネルバがザルトに声をかけてくる。
「ねえ、ザルト」
「ん?」
「3日後にシャーロット王女がこっちに来ることになったわけだけど、これを機にアストロ王国との友好を結んでおきたいと考えているんだ」
ミネルバはシャーロットがこっちに来る際にアストロ王国との友好を結びたいと考えているようだ。世界三大強国のうちの二国が友好を結べば、より世界は平和になる上に戦も少なくなると考えているのだろう。
「そうか。それは良いことじゃないか」
「そこでお願いなんだけど、ザルトには私とシャーロット王女の間に立ってほしいんだ」
ミネルバはザルトに自分とシャーロットの間に立ってほしいとお願いする。するとザルトは少し困ったような表情になる。
「守護騎士の俺なんかが2人の王女様の間に立ってもいいのか?」
「そういうことじゃなくて、ザルトはシャーロット王女と幼馴染みでしょう?だから、話の間に入ってほしいな~なんて思っているんだけど、どうかな?」
「ああ、そういうことか。そういうことなら構わないが」
ミネルバが言っていた間に入るというのは、ただ単純に会話の間に入るということであることがわかったザルトは一安心した。どうやら、そういうことなら構わないらしい。
「ありがとう。助かるよ」
「国交の話に関してはわからないから、そこはミネルバとシャロで話してくれ」
「そこは私に任せてくれればいいよ。そこは王女としての仕事だからね」
国同士の話についてはザルトが入るものではないと思っているため、それについてはミネルバとシャーロットの2人に任せるようだ。
「そういえば、ザルトはアストロ王国からここまで来たから疲れてるんだよね?だったら、今日のところはご飯を食べたらお風呂に入ってゆっくり休んでいいからね」
「ああ。お気遣い感謝するよ」
その後はアオラが本日の夕食を運んできて3人でおしゃべりをしながらも夕食を食べて、夕食後はザルトがアオラに風呂に案内してもらってから入浴して、その後に部屋に戻ってきて寝る準備を整えた。
「今日は色々あったが、明日から頑張るか…」
今日はミネルバの守護騎士として仕えるためにアストロ王国からラムリア王国までやってきて、ミネルバとアオラに挨拶してからの城内を案内してもらった後はシャーロットから連絡があったりしたことで疲れが溜まっていたこともあってか、ザルトはベッドに横になるとすぐに眠れたのであった。




