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World Piece  作者: アキラ
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第21話 ラムリア王国をご案内

次の日の朝食後、ザルトはシャーロットからこの後、国に戻るつもりであることを告げられた。


「そうか。国に戻るんだな」


「まあ、さすがにこれ以上、国を留守にするわけにはいかないからね」


「そういうことだ。この3日間、世話になったなぁミネルバ姫さん」


「私は何も」


「そうだ!ミネルバもあたしの国に来ない?」


「アストロ王国に?」


シャーロットの急な提案を聞いたミネルバは少し戸惑う表情を見せるが、そんなミネルバをよそにシャーロットは楽しそうに話す。


「そう!せっかく同盟を結んだんだから、お互いの国のことを知っておいた方が良いでしょ?」


「それにアストロ王国はザルトの出身国だ。自分の守護騎士のことをよく知るチャンスだぜぇ?」


「ザルトの…」


オルクの言葉を聞いたミネルバはザルトの方を見る。その視線に気付いたザルトはミネルバを見つめ返す。


「ちょうど良いじゃないですか!この後、ザルトさんとシャーロット王女、オルクさんにこの国をご案内した後にアストロ王国に行くということで」


「アオラ!?いいの?」


アオラの提案にミネルバは驚くのも無理はない。アオラの提案はミネルバがこのラムリア王国から出ることを許可していることになるのだから。


「良いも何も、シャーロット王女からの直々のお誘いですよ?それに私達が留守の間はリアナさんがこの国を守ってくださいますからね」


「留守の間は私に任せてちょうだい」


リアナは紅茶を飲みながらミネルバにそう言った。リアナは全ての属性魔法を扱える上に絶大な戦闘能力を誇っており、普段は地下図書館でこの城の中と国内を監視しているため、ミネルバからは信頼されている。


「何かあったらすぐに連絡を入れるわ。その時はできるだけすぐに戻ってきてくれればそれで良いから、行ってきなさい」


「わかった」


リアナからも背中を押されたミネルバはアストロ王国に行くことを決心した。


「ザルトとアオラはミネルバのこと、しっかり守ってあげなさい」


「わかってるって」


「もちろんです~!」


「2人共、頼りにしてるからね」


ミネルバは言葉通り、ザルトとアオラのことを頼りにしているため2人に向かって笑いかけた。


「それじゃあ、あたしとオルクは帰る準備をしてくるから、ミネルバ達も出掛ける準備しておきなよ?」


「わかった」


「それじゃあ、ごちそうさまでした。行くよ、オルク」


「おう」


シャーロットは朝食を終えて席を立つと、オルクを連れて部屋に戻っていった。2人とは後で合流するため、ミネルバ達も外出をする準備を始めるのであった。


それからしばらくした後のラムリア城の入口では、外出の準備を終えたザルトとミネルバ、アオラとシャーロット、オルクが集合していた。ミネルバ達の見送りとしてリアナもいる。


「それじゃあ、リアナ。行ってくるね」


「私達が留守の間、この国とこの城のこと、お任せしますね!」


「すまないが、しばらくの間だけ頼む」


「ええ、任せて。シャーロットとオルクはまたいつでも来てちょうだい。歓迎するわ」


リアナはザルトとミネルバとアオラと話した後にシャーロットとオルクに向かって話しかける。


「ありがと!」


「おう。世話になったな」


シャーロットとオルクがリアナとの挨拶を終えると、ミネルバが皆に向かって声をかける。


「それじゃあ、行こうか」


「出発しま~す!」


「それじゃあ、リアナ。行ってくる」


「ええ。行ってらっしゃい」


ミネルバを先頭にその隣にアオラ、その後ろにザルトとシャーロットとオルクが続く形でラムリア城の外に出た。


「ミネルバは外行きの服なんだね~」


「うん。いつものドレスだと歩きにくいし、こうして外に出る時は動きやすい方が良いからね」


シャーロットに服装のことを言われたミネルバは少し困ったような表情で答える。ミネルバが普段、着ているドレスは公務用のドレスであるため、丈の長さも相まって外行きに向いていない。そのため、彼女が外出する時は動きやすい服装に着替えるのだ。


「ちなみにミネルバ様が今、着ていらっしゃるお洋服は私が見繕っているんですよ~」


「そっか。たしかにあのドレスだと歩きにくいもんね~」


そう言うシャーロットはラムリア王国に来た同様に黒と白を基調としたドレス姿だが、これは動きやすくもあるため、今でも着ている。


「そういうことです!」


「そんなアオラも着替えてきたんだね」


「当然です!メイド服は城の中での正装ですから!」


アオラは普段から膝丈のメイド服であるため、そのままでも動きやすいのだがメイド服は城の中での正装であるため、彼女も外行きの服に着替えていた。


「それじゃあ、私とアオラがこれからこの国を案内するから、ついてきてね」


「しっかりついてきてくださいよ~!」


ミネルバとアオラはこの国をよく知る者として、先導して3人にラムリア王国の案内を始めるのだが、まずはラムリア城に一番近い城下町からの案内をする。

ラムリア王国は海洋国家として近隣諸国に名を馳せている大国で各国との交易の中心地として栄えており、水が豊かで綺麗な国であることから景観がとても綺麗な街が多い。


「うわ~…すっごく綺麗だね~。さすがはラムリア王国」


「水の都が多く存在していると聞いてはいたが、まさかここまでとはなァ」


シャーロットとオルクはラムリア王国にある街並みを見ながらも興味津々といった様子だ。自分の国にはない物を見たことで感心しているといったところだろう。


「シャーロット王女とオルクさんは興味津々といったご様子ですね!」


「そうだな」


「ザルトはどうかな?ここは私達が住んでいて、あなたが最近、住み始めた国なんだよ」


「ん?ああ、そうだな。水が綺麗で街も賑やかな良い国だと思うぞ」


ミネルバに質問をされたザルトは現時点で抱いている感想を述べてみた。ザルトはこの前からこの国に住んでいる身である以上はラムリア王国内をよく見ていることで抱いた感想であった。


「そっか。良い印象で良かった」


「ザルトさんもこの国の一員なんですよ?これを機にこの国のこと、よく知ってくださいね~?」


ミネルバがザルトと話していると、アオラがミネルバに軽く抱きついてきながらザルトに声をかけてくる。


「ああ。わかってるさ」


「次の場所を案内するから、しっかりついてきてね」


「皆さん、こちらですよ~!」


ミネルバとアオラが再び先導して歩き始めたため、ザルトとシャーロット、オルクはそれについていった。



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