第16話 地下大図書館の秘密
リアナはミネルバとシャーロットの2人の王女に声をかける。
「それはともかく…ミネルバとシャーロットはちょっと話したいことがあるんだけど、良いかしら?」
「うん。良いけど、何?」
「あたしも?」
リアナに呼ばれたミネルバとシャーロットは彼女の傍に来る。するとリアナは自身の前に展開されている巨大モニターの方に視線を向けた。
「2人は三大強国のうちの2つの国の王女様だから一応、伝えておくわ。2人はサテライト王国を知っているわよね?」
「うん。ここラムリア王国と…」
「あたし達のアストロ王国に並ぶ三大強国の一国だよね?それがどうかしたの?」
シャーロットの言うとおり、サテライト王国というのはこの世界における三大強国の1つとして数えられている国である。つまり、この世界における三大強国はラムリア王国とアストロ王国、そしてサテライト王国の三国ということになる。
「私が得た情報によると、最近は何やらきな臭い動きをしているみたいなのよ」
「きな臭い動き?どんな動きをしているのかまでは、わからない?」
「サテライト王国の王女様が守護騎士を雇ったという情報があるのよ。しかも複数人一気にね」
「守護騎士ってあたしのところは今のところいないんだけど、複数人も雇えるものなの?」
リアナの話を聞いてシャーロットは現守護騎士であるザルトの方を見て、そう聞いてみた。
「守護騎士の複数雇用は可能だ。だが、多人数雇用は主の度量も試される。守護騎士の中には我が強いやつやお互いに仲が良い悪いがあったりするから、複数人数の守護騎士を雇うということはそういったことを制御できないといけない」
「ふうん、なるほどね。あたしはまだ守護騎士がいないけど、雇うかどうかは状況によるかな~」
シャーロットはザルトから守護騎士に関する話を聞いて自分も雇うのかどうかを考えているようだ。
「シャロは戦闘能力が高いから、守護騎士は必要ないかもな。オルクもいるし」
「おうよ!まあ、シャロはオレがいなくても強ぇんだけどな」
ザルトの言うとおり、シャーロットは戦闘能力が王女の割には高い上にオルクもいるため、現状は守護騎士が尚更、必要ないのである。
「…賑やかね」
「ごめんね。迷惑だった?」
リアナがザルトとシャーロット、オルクが楽しそうに話す様子を見ながらそう言うと、それに反応したミネルバが声をかける。
「大丈夫よ。こういうのも嫌いじゃないし」
「そう。それなら良かった。せっかくだから、ザルト達にここの説明をしてあげてくれる?」
「わかったわ。ミネルバとアオラ以外の人はここに初めて来るから説明をするわね」
リアナがそう言って「コホン」と咳払いをすると、ここに初めて来たザルトとシャーロットとオルクがリアナの方に注目する。そこからリアナは3人に向かってこの大図書館の説明を始める。
「ここは知っての通り、ラムリア城の地下にある大図書館で色々な本があるわ。魔法書に歴史書、伝記など色々な書物があるわ。何か気になる本や読みたい本があったら気軽に私に言ってちょうだい」
「見たところ凄い量の本だが、リアナは全ての本を把握しているのか?」
「ええ。そうでなきゃ、ここの司書長をやっていないわ」
ザルトからの質問にリアナは誇らしげに答える。この大図書館には数万規模の本があるにも関わらず、リアナはここの本を全て把握しているのである。
「あたしからも質問!さっき、あたしとミネルバに話した時に見せてくれたそこの巨大モニターは何?」
「これはこのラムリア王国の各所に設置されているカメラの映像を映し出しているのよ」
シャーロットの質問に答える形でリアナは巨大モニターに目を向ける。この巨大モニターはラムリア王国の各地に設置されているカメラの映像を映し出しているのである。映し出されている場所はこのラムリア城内から城の周辺、さらには城下町まで様々だ。
「何のためにそんなことを?」
「この国に異変や戦が起きた時に迅速な対応をするためよ。ここ数年はずっと平和だけど、いつ何があるかわからないもの。もし何かあった時は私がミネルバに連絡することになっているのよ。ちなみにさっきミネルバに連絡したのはザルトとシャーロット、オルクの3人に挨拶したかったからというのがあるけど」
リアナはこのラムリア王国の様子を巨大モニターで見ながら何かある時はミネルバに連絡をするということをしているのだ。
「なるほど~。うちの国もこれくらい警備を強化した方が良いのかなあ?」
「こっちにはオレがリーダーをやってる自警団がいるから大丈夫だぜ。なにせ、腕っぷしには自信があるヤツらばっかりだからな!」
オルクの言うとおりアストロ王国には彼がリーダーを務める自警団が存在しており、治安を守っているのである。
「そういや、そうだったねー」
「ねえ、シャーロット」
「んー?どうしたの?」
ミネルバが声をかけると、呼ばれたシャーロットはミネルバの方を見る。
「今日もこっちに泊まっていく?」
「う〜ん、そうだねぇ…ミネルバが迷惑じゃなければ泊まっていくけど」
「こっちはいつでも大丈夫だよ」
ミネルバとしてはシャーロットと今回せっかく仲良くなれたということもあり、できるだけ一緒に過ごしたいと思っているため、今日も泊まることを了承する。
「そっか。それならお言葉に甘えて今日も泊まらせてもらうね!」
「それなら今夜はリアナさんも一緒に来ていただいて4人で女子会しましょう!」
シャーロットが今日も泊まることがわかったことでアオラがそんな提案をすると、リアナが反応する。
「ねえ、アオラ。なんで私も入っているのかしら?」
「せっかくシャーロット王女がいるんですよ。この機会にリアナさんもシャーロット王女と親交を深めましょうよ!」
「私はここの仕事で忙しいのだけど…」
リアナはここの地下大図書館の司書としての仕事と巨大モニターによる国内監視の仕事で毎日、忙しいのである。
「リアナもたまには身体を休めないとダメだよ?だから今夜は一緒にね?」
「うっ、仕方ないわね。たしかに今日はシャーロットがいるから、付き合ってもいいわ」
ミネルバにお願いされたというのと、今回はシャーロットが来ているということもあって今夜の女子会に参加することを了承した。




