第14話 秘密の部屋へ
ラムリア城の大広間でザルトとミネルバ、アオラ、シャーロット、オルクの5人は朝食を一緒に食べた後に楽しく雑談をしていると着信音が鳴った。
「ミネルバ様。携帯が鳴ってますよ~?」
「うん、そうみたいだね。私のスマホが鳴るってことは…彼女かな?」
ミネルバはそう言うと自身のスマートフォンを取り出して相手を確認してから電話に出た。アオラと同様にミネルバもスマートフォンを持っているのは、色々と連絡する時に必要になるからだ。
「やっぱりだ。はい、もしも~し?」
『ミネルバ。今、良いかしら?』
ミネルバの持つスマートフォンからは女性の声が聞こえてきた。先程まで雑談していた面々はミネルバの通話の邪魔にならないよう静かにしている。
「うん、良いよ。何か用かな?」
『あなた最近、守護騎士を雇ったでしょう?それに昨日からはアストロ王国からシャーロット王女も来ているわよね。せっかくだから会わせてもらえないかしら?』
「うん、良いよ。ちょうど皆に紹介しようと思ってたところだし」
『ありがとう。私がそっちに行った方が良いかしら?』
「そこから動けないくらい、いつも忙しくしているでしょう?こっちが行くから、待ってて」
『悪いわね。それじゃあ、お言葉に甘えて待っているわ』
通話を終えるとミネルバはスマートフォンの通話終了ボタンを押した。すると、アオラが声を掛けてくる。
「先程の通話はリアナさんからですか?」
「うん。ザルトやシャーロット、オルクさんを紹介してほしいんだって」
「なあ、ミネルバ姫さんよォ」
ミネルバから1人だけ「さん」付けされたことで反応したオルクが声をかけてくる。
「なあに?」
「ザルトやシャロのことも呼び捨てしてるみてえだから、俺のことも呼び捨てで良いぜ?」
オルクは一人だけ「さん」付けされたことが気になったようで、自分のことも呼び捨てで良いということを言った。
「わかった。それじゃあ、オルクもよろしくね」
「おう!」
ミネルバはオルクの呼称を改めると、椅子から立ち上がる。主が立ち上がったことでザルトとアオラも椅子から立ち上がった。
「3人に会わせたい人がいるから、私についてきてくれる?」
「ああ、わかった」
「オッケー!」
「おうよ!」
「それでは、参りましょう~!」
ミネルバとアオラが先行する形で広間から移動を始めた。ザルトとシャーロット、オルクの3人はそれについていく形を取る。
ザルトとシャーロット、オルクはミネルバとアオラについていくと、エレベーターの前に辿り着く。
「なあ、アオラ」
「何ですか?ザルトさん」
ザルトがアオラに声を掛けると、アオラはいつもの調子で振り向く。
「俺が初めてここに来て城内を案内された時、ここは案内されなかったんだが…」
「ここから先は今からお会いする方の許可がないと案内できない場所なので、案内できなかったんですよ~」
アオラはザルトにそう説明するが、このエレベーターがある部屋はザルトがミネルバの守護騎士になり、ここに初めて来た時に案内された場所には入っていなかったのである。
「そうなのか」
「そういうことなんです。それでは、参りましょう~!」
アオラがボタンを押していたことでエレベーターが到着したため、ザルトとミネルバ、アオラ、シャーロット、オルクの5人はエレベーターに乗り込むのだった。




