プロローグ
この物語の世界は人と人ならざる者が共存しており、魔法が一般的に使われている世界である。
そんな世界に存在する国の1つであるラムリア王国。ラムリア王国はこの世界における三大強国の1つと言われており、世界一の海洋国家として近隣諸国に名を馳せている。各国との交易の中心地として栄えており、海賊すらも支配下に置いているような国である。そんなラムリア王国から今回の物語は始まる。
「ふう…今日は私の守護騎士が来るんだよね。どんな人なんだろう?」
そう呟くのは、ラムリア王国の王女であるミネルバ・ラヴィリアだ。ミネルバは青く長い髪をピンク色のリボンで結わえているのが特徴的な美女で、優しげな顔と温和な性格で国民からは絶大な支持を得ている。そんなミネルバは王女様らしく白いお姫様ドレスを着用している。
「失礼いたします、ミネルバ様。お茶が入りました!」
ミネルバに紅茶とお茶菓子を持ってきたのはミネルバの筆頭使用人であるアオラ・クルミエールだ。アオラは水色の髪をツインテールにしており、仕事着であるメイド服を着用している少女である。ミネルバのことは主としては勿論であるのだが、懐いてもいるためミネルバからは従者として、というよりは友人に近い関係で接してもらえている。
「ありがとう、アオラ。せっかくだからお茶にしましょうか」
「はい!それでは、ご一緒させていただきますね!」
アオラは嬉しそうにそう言うと、ミネルバが座っている椅子の向かいの椅子に座って向かい合う形を取る。
「そういえば、ミネルバ様」
「ん?なに?」
ミネルバがアオラと一緒にいつものようにお茶をしていると、アオラが話しかけてくる。
「今日はこの城にミネルバ様の守護騎士が来られるんですよね?」
アオラの言う守護騎士というのは、要人の側について護衛することを任務にしている騎士で、普通の騎士とは違い専用の養成所で教育や戦闘訓練を受けてようやく守護騎士になれるという、騎士の中ではかなりのエリートなのである。
「そうだよ。今日から私にも守護騎士が付いてくれるんだ。それがどうかした?」
「ミネルバ様には私というものがありながら、なぜ守護騎士を雇うのですか?私ではご不満ですか!?」
アオラはミネルバのことが主であること以前に大好きであり、護衛も進んで務めていたため今回、ミネルバが守護騎士を雇うことに少し不満があるようだ。
「ううん。アオラはよくやってくれているよ。だけど、アオラだけに負担をかけさせるわけにはいかないから今回、守護騎士を雇ってみることにしたんだ」
「ミネルバ様…!まさか、こんな私のことを考えてくださっていたなんて!このアオラ、感激ですぅ!」
アオラはミネルバが自分のことを考えてくれていたことに対して純粋に感激したようで目に喜びの涙を浮かべていた。
「アオラが私のことを大切に思ってくれているように、私もアオラのことを大切に思っているからね」
「ああ、ありがたきお言葉…!このアオラ、これからもミネルバ様のためにより一層、頑張りますね!」
アオラはミネルバに嬉しくなる言葉を言ってもらえて感激に震えながらも決意を新たにする。
「うふふ、ありがとう」
「今回ミネルバ様が守護騎士さんを雇う上でお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「内容にもよるけど、なにかな?」
アオラからお願いがあるとのことで、ミネルバはアオラが淹れてくれた紅茶を飲みながら応じる。
「その守護騎士さんの実力を見るために私と模擬戦をさせていただいてもよろしいでしょうか?私としては、それなりの強さがなければミネルバ様の守護騎士を務めさせたくはありませんので」
「アオラは心配性だなぁ。でも、今から来る守護騎士の実力が見たいというのは私も同じだから良いよ」
「ありがとうございます!」
ミネルバとアオラがそんな感じに仲良く談笑していると、アオラの持っているスマートフォンの着信音が鳴ったため、すぐに電話に出る。
「もしもし……そうですか。通してあげてください」
アオラは連絡を終えると、電話を切ってミネルバに声を掛ける。今の電話は城の中を警備している兵からの報告だったようだ。
「ミネルバ様。その守護騎士が到着したようです」
「そっか。それじゃあ、行こうか」
「はい!」
守護騎士が来たという連絡を受けたアオラからの報告を聞いたミネルバは椅子から立ち上がって部屋の外に向かう。アオラは当然のようにそれについていくのであった。




