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蒼色のラクガキ  作者: 木下正裕
4/5

#4

今日も世界は動き続ける。

誰かが産声を上げたとほぼ同時に、誰かが火葬場に運ばれるかもしれない。目の前だけを切り取れば幸せなことが、数歩下がるだけで違った見え方になる。鳥の視点で世界を見たいけれど、どこかそれを覗くのが怖くてつい目を閉じてしまう。真っ暗だ。果てのない黒色が広がる。ちょっぴり、怖い。


決して止まることのないチクタク音が今日もまた人間を縛り付ける。





・・・





『おはよ〜。』


「おはよう!とうとう梅雨がやってきたで!傘忘れたアカンで!」





(でたでた...)





「てか、今日の星座占い一位やったんやけどラッキーアイテムがミッションの軽トラックやて、そんなアホな話ないよな〜。」





(...ダ、ダブルパンチ!!)





『いってきます。』





梅雨入りが疑わしいほどの快晴の朝空。ビニール傘を持つことに少し抵抗を感じながらも、この間の夕立の反省を生かして、今日はママを信じることにした。





[チリンチリン!]


『なに言ってんの、恥ずかしいからやめて。』


[ベルが鳴らへんようなってんねん。せやから今日はお口ベルや。]


『全っ然ウケないから。』





ただでさえ15分の登校が2分に感じる。アイツに夢中なワタシは、道中の小料理屋が閉店してしまっていたことに気づくのに随分と時間がかかってしまった。





・・・





【えーっと、じゃあ、教科書13ページの例題のところやってみようか。英語を日本語に直すやつね。ちょっと時間取って答え合わせするから。】





センセーはこうやってすぐに時間を取る。その間教室を回って生徒の様子を見るわけでもなく、次の部分を確認するわけでもない。ただじっと、何回も見ているであろうクラスの時間割を月曜日から金曜日まで眺める。





キーンコーンカーンコーン


【はい、じゃ終わり。みんな宿題、ちゃんとやっといてね。】


『センセー!』


【ん?】


『相談したいことがあって...』


【ちょっと昼間は忙しいんだ。放課後でもいいか?】


『わかりました。終礼終わったら、センセーとこ行きます。』





お互い笑顔はなく、淡々と会話をした。登校の誰かさんとは反対に、ほんの少しの時間が、終わりのないように感じた。





・・・





【相談って?】


『センセー、いい天気ってなんですか?』


【なんだ、哲学か?難しいこと聞くんだな。そういえば...】





そう言って、センセーのとある昔話が始まった。





→→→ #5

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