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蒼色のラクガキ  作者: 木下正裕
2/5

#2

高校二年生になって1ヶ月が経とうとしている。GWが明け、どこか浮ついたままのワタシはその長い休み期間で唯一の買い物、ボールペンとメモ帳を、使う予定なんてないけれど、まだギリギリ綺麗と呼べる通学カバンの横ポケットに潜ませる。


カッターシャツにスカートが過ごしやすくなってきた。両袖を二回腕まくりして、薄茶色のポニーテールを束ねるための100均のヘアゴムがワタシの左腕に馴染む。





『いってきまーす。』


「今日は雨かもしれへんって。夜まではなんとか持ちそうやけど。」


『いいよワタシは。てか夕方には帰るし〜。』





ママ。一言多い人。いってらっしゃいだけで済ますことはなく、天気だとか星座占いだとか、正確な保証なんてなにひとつないくせに、いつも一言付けてくる。


まあ、そんなことは多分、全然どうでもいい。








『あ、おはよ〜。』


[うぃす。今日のママの星座占いは何位やった?]


『今日は天気予報の話やったから聞いてない。』


[なんやねん、密かにお前のオカンのファンやのに。]








アイツ。まだ車のことをブーブー、犬のことをワンワンって呼んでた頃からの幼なじみ。今はクラス離れちゃったけど、小学校からずっと一緒に学校に通ってる。毎朝家の前でチリンチリンと自転車のベルを鳴らすのが合図。

一つだけ言っておくけど、ワタシはアイツのこと好きなんかじゃない。絶対ない。





[てか、今日雨なんや。]


『そうらしい。でも夜からってママは言ってたけど。』


[そっか、今日は部活ないし一緒に帰ろな。]





「いいよ」なんてはっきりした返事じゃなくて、「ん」の一文字しか照れ臭くて返せなかったのは別にワタシがアイツのことを好きだからじゃない。絶対絶対ない!





・・・





ワタシが着席したのは、風通しが良くてグラウンドの50m走を眺めるには1番の席。

どこか雲行きの悪い空が、だんだんと頭上を覆っていく。








→→→ #3

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