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蒼色のラクガキ  作者: 木下正裕
1/5

#1

人生は複雑だ。


絶望の淵に立たされたとしても正義のヒーローが飛んできたり、

彼氏ができなくても白馬の王子様が迎えに来てくれたり、

なんてことはまるでない。


私の生きている現実は、

なんかもっとこう、複雑で、不安定で、残酷だ。

赤とか橙とか桃みたいに明るい色だけじゃない。

黒とか青とか灰とか。一色や二色じゃなくて。

絶妙な色のバランスが、私の人生を彩っている。








・・・








いたるところにまだ夏の香りが染み付いている新学期の教室。残暑なんて言葉はまだ早い、夏の終わり。教室の窓を吹き抜ける水色の風がポニーテールをなびかせる。そんな教室にワタシとセンセーの二人ぼっち。





センセー。なんだかずっと考え事してる。

一人娘が今年から幼稚園に入園して、幼稚園行きたくないなんて駄々もかわいいはずなのに、どこかボーッとしてる。








『センセー、ワタシ最近なんか変な夢ばっか見てしまうんやけど。』


【変な、ってどんな?】


『それが忘れちゃうねん。』


【覚えてないのかよ。気になるから言うんじゃないよ。あっ、そういえば...】


『どしたん?』


【いや、やっぱりなんでもないや。】


『へへっ、なんだそりゃ。じゃ、帰る〜。』





遠くに聞こえる吹奏楽部のチューニングが嫌に大きな音に聞こえる。そんな大きな音に反して、二人はかすかな声を自分の心に響かせた。








『今日も言えなかった。あの変な人形のこと...』


【今日も聞けなかった。あの変な人形のこと...】








ワタシが出会った謎の人形との物語。

ワタシの高校生活のうちの、たった1095分の100日間の小さな日常。

あの日々をフィルターをかけずに伝えること。

それが、ワタシのできること。

それが、ワタシがしなきゃいけないこと。

それが、ワタシが人形から教えてもらったこと。











→→→ #2

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