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木の実

作者: 閃光

朝露に濡れて血の滴る肉片のように艶かしく光る赤い木の実が、細い木の枝の先に垂れ下がっていた。


寒々とした目の覚めるような青空に弧を描くその細い枝は、丸々と肥えた木の実の重さに耐えきれず、終ぞや誰にも聞こえない程の小さな音を立てて折れてしまった。


土の上に転がる真っ赤な木の実。地面を隆起させ顔を覗かせる木の根の上に落ち、割れた果肉から湿った小さな種が散っていた。


木の実の蔕にしがみついていた梢は、地面に打たれた衝撃で隣の木の根元に弾き飛ばされた。


どこからともなく飛んできた小鳥が散らばった種にこびりついた果肉を二、三回啄ばみ、熟れ過ぎたその果実に背を向け飛び去って行った。


木の枝には、もう実は残っていない。

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