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忘却ノ日  作者: お芋の人
3/3

第三話 黒は白に出会う。

 これは、ある短編に登場したマイペース白猫と家に居座り始めた黒猫の出会いのお話。

 詳しくは【短編】「自由なあいつは」と本作を初めからお読みください。

 ある昼下がり。秋も終わり冬の寒さが顔を出す。薄手のコートでは肌寒さを感じ始める、そんな季節はもうすぐそこまで来ていた。徐々に家から出るのも億劫になって行く休日の朝に、男は布団を抱きしめる。



 寒さに勝てないダメ人間であった。



 いや、ナレーション。こんなに寒いなんて聞いてない。昨日まではいい感じの気候だったんだよ。朝起きるのも辛くない、ぼーっとしながらテレビ見れるようなさ……。でも……暖かいな、こいつ、抱きしめ……て……ねれ……



「にゃー」



「ね、寝てない!寝てないぞ!」


 この、俺が至福の時を過ごすことに抗議の声を上げるのは、名をコサキと言う。カイロとして素晴らしい働きを見せてくれるのだ。


 秋に遭遇したとある一件の後ウチに訪れて以来、何故か居座るようになった女の子の黒猫。


 身体は真っ黒な毛並みをしていて基本的に俺にくっついている甘え上手なやつなのだが、尻尾に黒猫の髪飾りを付けていて取ろうとしたらめっちゃ怒られた。まぁそんな可愛いコサキなんだ。



 二度寝は許されないらしい。仕方ない。起きて朝ごはん食べよ。


「コサキー。朝ごはんの準備するからキッチン行くか」


「にゃー」



 寝起きの身体を引きずりながら台所へ向かう。既に冬に入り始めているこの時期の朝は、控えめに言って寒い。だが流石に朝ごはんを食べないわけにもいかない。コサキもいるしな。


「うぅ、さむっ。相変わらず寝起きは冷えるわ。やっぱ布団から出たくなかった……。」



 文句を口から漏らしながら作る朝ごはんは、食パンとスープ。最近めっきり冷えてきたから暖かいもの食べたいよね。少しずつ手料理をするようになって、それっぽい料理なら作れるようになった。ちょっとした自慢だ。


「よし、ご飯できたし机に持って行って飯食べよ」



 作ってたらめっちゃお腹すいたわ。ササッと洗い物してご飯にしよう。あ、コサキも呼ばないとな。



「コサキー。ご飯できたぞ」



 あれ?返事がない。どこいったんだろ。


 そんな疑問を抱えつつ、洗い物を終えて、料理を持って机に向かった俺は机の上で奇妙な光景を目にすることになる。




「みゃーお」


「うーーっ」



 警戒して毛先逆だってるコサキ、可愛い。……で、喧嘩相手は……あぁ、あいつは……久々に見たな。めっちゃコサキ威嚇してるしこの辺で止めとくか。


 あれ?でもなんでこんな威嚇を……そうか、コサキが来くる前頃からかな、うちに来ることあまり無くなってたから、それで初めての邂逅って訳なのな。



「コサキ、そいつは警戒しなくてもいいよ。お前が来る前からたまにうちに遊びに来てた女の子の白猫だ」



 春の陽気が差し込むうちに、度々顔を覗かせていたこの白猫。ご飯時に遊びに来てテレビを見て帰る。なんとも自分の時間で生きていると言う言葉が合う猫であるのだ。



 「なぁお前は名前あるのか?」


 出会った時に取り敢えず勢いで首輪を付けたものの、野良かどうかもわからない猫が一年近くうちに遊びに来ていたのか。まぁコサキが来たし呼ぶ時困るからそろそろ名前、付けてもいいかな。


 コサキのときは黒い毛並みの中に、光が反射した時少し紫が見えたんだ。そこから小紫をコサキと付けた。なんとも安直だがこれくらいがいいんだ。決して、うまく名前が決められなかったわけじゃないんだ。


 さぁ問題のこの白猫。見た限り普通の白猫なんだ。うーん……もうほんとに真っ白だからなぁ……。もういいや、簡単に。



「お前はとりあえずマシロって名前にしようと思う。ほんと真っ白だからさ」



「まーーぉ」



 あ、ちょっと嫌がってる。もう少し考えるか。


 もう少し観察して……そう言えばもう冬か。実家はいいな。雪降らなくて。こっちは歩くところなくて大変なんだ。……雪か。真っ白だな、雪。よし、これならOK出るかもな。




「雪みたいに白い毛並みにコサキのコとお揃いにしてコユキ、でどうだ?」



「ゴロゴロ……みゃーぉ」



 あ、機嫌良さそう。



「気に入ってくれて何よりだ。それじゃ、コユキ、これからよろしく頼むよ。コサキも仲良くしてくれよ。マイペースなやつだが悪いやつじゃない……はずだよな?コユキ」



「にゃー」



「みゃーぉ」


 コサキはいつもより低めのみゃーぉだったけど……まぁいっか。



「それじゃ、一緒にご飯食べるぞ」



 ほんとお腹すいてむり。あ、自分が食べる前に二匹のご飯も用意して。




「いただきます」



「にゃー」



「みゃー」



 俺の声に合わせてコサキとコユキは鳴いてからご飯にありついた。





 これが黒と白の相反する二匹の出会いのお話。

 こんにちは。いちご大福の虜のお芋の人です。


 子供の頃母親によくいちご大福を作ってもらっていたのですが、無駄に出来が良くて母親の作るデザートの中では一位、二位を競う美味しさでした。


 未だ寒さの残る季節ですが、いちごの旬の足音は、もうすぐそこまで来てますね。自分でも作ってみようか、なんて血迷わないように気をつけてくださいね。


 さて今回は前話の「物語は一度落ち着きを取り戻す」の続編なわけですが、別で書いていた短編の白猫を勢いで出しておきました。一匹ですら猫の表現は難しいのに、また増えたとなるとてんてこ舞いです。えぇ。てんてこ舞い。コサキもコユキも色に照らし合わせて可愛い名前をと付けたのですが、可愛い……ですよね?


 まぁ二匹にはこれからも頑張って頂く予定ですので、優しく見守っていただけると幸いです。


それでは、今回はここらで失礼致します。次回もお待ちしています。

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